研究課題
卵巣摘出サル歯周病モデル動物を作成し、高齢女性の歯槽骨喪失メカニズムにおいて骨粗鬆症と歯周病がどのように係わり合っているかを検索するとともに、カテプシンKに対する阻害剤(NC-2300)を投与した効果を検索した。【歯周組織検査結果】第2大臼歯のポケット深度については、Sham群とOVX群での有意差は認められず、各群の歯周病誘発群において有意にポケットが深化していた。一方、X線写真で測定した第2大臼歯遠心歯間部の骨吸収度では、OVX群の値がSham群よりも有意に高かった。【微細骨梁構造の観察結果】Sham群、OVX群ともに歯周病を誘発することで、歯間部の歯槽骨高さが減少した。また歯周病誘発群においては、歯石の付着が認められた。歯周病の有無に関わらず、Sham群よりもOVX群において根分岐部における骨量の減少が認められ、骨梁の連結性の喪失が認められた。また、OVX群では、根分岐部の病変が重篤化している個体も認められた。【NC-2300投与効果】(尿中CTx値)OVX対照群で卵巣摘出による骨吸収の亢進が継続してみられた。NC-2300投与群においても8カ月目に比して増加がみられたが、OVX対照群より低値を示し特にNC-2300の10mg/kg投与群ではSham群レベルまでuCTx排泄は抑制された。(尿中NTx値)Sham群を含む全群で増加が認められたが、1日排泄量についてPre値からの増加率をみるとNC-2300の3mg/kg投与群ではOVX対照群に比して低い傾向を示した。(血清中NTx値)NC-2300投与群で明らかな増加が認められたが、NC-2300投与後24時間目では骨吸収抑制作用が減弱すると考えられる。以上の結果より、OVX群では骨密度、骨代謝への影響、特に骨吸収の亢進が生じていたが、NC-2300は骨吸収を抑制し、骨形成を促進していたと考えられる。
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