研究課題/領域番号 |
24593135
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
林 潤一郎 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (30350937)
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研究分担者 |
石原 裕一 愛知学院大学, 歯学部, 准教授 (50261011)
亀井 英彦 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (50421243)
森田 英利 麻布大学, 獣医学部, 教授 (70257294)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 歯周病 / プラーク細菌 / 16SrRNA解析 |
研究概要 |
本研究では、歯周病の病因解明と口腔細菌のリファレンス情報の充実を目的として、歯周病患者のプラークから、新菌種候補を含む臨床株を網羅的に生菌分離し、16SリボソームRNA遺伝子(16S)配列決定による系統解析、全ゲノム解析あるいはドラフト配列決定を計画している。 24年度は、4名の歯周炎患者より、デンタルプラークを採取し、生菌の分離を行った。サンプリングを行ったプラークは、分離作業実施までの間、20%グリセロールにて凍結保存を行った。分離作業は、BL寒天培地にて37度で48時間、嫌気培養し、形成したコロニーについて順次、釣菌を行った。新たな培地にて培養し純化を行い、継代可能な菌株について凍結保存した。これまでに60株の分離、純化を行った。 次に、これらの60株について16S解析を行った。BL寒天培地にて継代したコロニーに対し、コロニーPCRを行い、16S遺伝子を増幅した。増幅したDNAを鋳型DNAとして、BigDyeTerminatorV3.1CycleSequencingKit(Applied Biosystems)を用いたシークエンス反応を行い、ABI3730シークエンサー(Applied Biosystems)によって、塩基配列を決定をした。 それらの配列データをもとに、相同性解析を行った。既知の菌株との16Sの相同性98.7%未満の菌株、配列の登録はあるが、菌種の特定ができていないものとが相同性が高いものについて、それらを新菌種候補とした。その結果、これまでに分離行った60株のうち、うち17株が新菌種候補であることが判明した。現在、これらの菌について、詳細な性状試験を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定では、24年度は、10から15名の被験者からデンタルプラークのサンプリングを行い、採取したサンプルから生菌を分離し、純化、16S解析を実施することとなっていた。25年度以降も同様の作業を継続し、新菌種候補が得られた場合、生物学的な性状分析とゲノムのドラフトシークエンスを行い、新菌種であることを確認する予定であった。 24年度に実施したサンプリングは、被験者4名にとどまっている。しかしながら、採取したサンプルからは、60の株を分離し、それらについて16S解析を実施したところ、17株の新菌種候補を得ることができた。これは、当初、24年度に予定していた数よりも多いものであった。サンプリング数は少なかったものの、経過としては概ね順調であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
25年度は、継続してサンプリングを行い、さらなる新菌種候補を分離する予定である。同時に、25年度中に分離された17 の臨床分離株について、性状試験やDNA-DNAハイブリダイゼーション等により、細菌学的な特徴について検討を行い、新菌種の提唱を目指す。また、その中で、新規性の高い菌株については、ゲノムDNAの抽出を行ない、ゲノムDNAのドラフト配列の解析を行う予定である。解析はパイロシースエンス法を応用した次世代シークエンサーを用いてショットガン方式にて行い、可能な限りのアッセンブリを行う。得られた配列データについては、公的データベースに登録し、リファレンス情報として利用できるようにする予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度は、サンプリング、16S解析、候補株の性状試験、ドラフトゲノム配列の決定などの作業を実施する予定である。それらに掛かる経費としては、サンプリング用消耗品、培地、プラスチック類、性状試験用試薬等で約50万円、16S解析用のサイクルシークエンス試薬、PCR関連試薬等で約50万円、ゲノムドラフト配列決定用の試薬等で約80万円の使用を予定している。しかし、これらについては、得られる新菌種候補の数等によって変更する必要があると思われる。また、新菌種提唱の際に、全ゲノム配列の決定が必要な場合は、特徴的な1菌種に限って実施するが、その経費は26年度請求分の研究費で行う予定である。
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