研究課題
本研究では、デンタルプラーク細菌叢から新菌種の臨床株を分離し、ゲノム解析を行うことで、口腔細菌のリファレンス情報の充実を図った。あわせて、既知菌種についてもいくつかの臨床分離株のゲノム解析を実施し、口腔細菌叢と歯周病との関連性を考える上での基盤とした。平成25年度までに、新菌種候補株として17株を分離し、それらのうち特に相同性が低い3株についてはより正確な16S遺伝子の塩基配列を決定した。2株はStreptococcus属、1株はVeillonela属の近縁種と推定された。平成26年度はこの3株について全ゲノムの塩基配列の決定を行い、ドラフト配列を得た。また、既知のう蝕病巣由来の細菌株Bifidobacterium dentium JCM1995株、Parascardovia denticolens JCM12538株、Scardovia inopinata JCM12537株について全ゲノム解析を平行して実施した。これらの3株はかつてBifidobacterium属に分類されていた近縁種である。ゲノム配列の決定は、ショットガン方式によるサンガー法にて行った。B. dentium JCM1995株のゲノムはプラスミドを含まない2635669bpの染色体DNAのみで構成され、2141のタンパクをコードする予測遺伝子が認められた。P. denticolens JCM12538株、S. inopinata JCM12537株のゲノムも同様にプラスミドを含まず、それぞれの染色体DNAは、長さが1890857bp、1797862bpで、他のBifidobacterium属の菌種よりも1.9から2.8Mbp短かった。これらの配列情報は、DDBJ/GenBank/EMBLの公的データベースに登録した。(accession no. AP012326、AP012333、AP012334)
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Genome Announcements
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