研究課題
基盤研究(C)
歯周病治療においては,歯周病原細菌が一旦歯周ポケットから駆除されても再感染してくることが知られている.この再感染源の一つとして、唾液を介し口腔と密接に関連する咽頭部の可能性が考えられる.申請者らは,多くの健康人や歯周病患者において、歯周病原細菌以外にも再感染を助長する細菌群が,存在するのではないかと考え検討している.歯周ポケットと似た環境,すなわち扁桃陰窩を有する咽頭部の口蓋扁桃に注目した.まず,口腔内と咽頭におけるRed complexの検出と扁桃腺炎の指標ともなるASO,ASK,CRPおよび咽頭部の細菌を検査した.さらに,口臭との関連性を検討してきた。今年度は, 歯周病非罹患者からの採取したサンプルにおける,T-RFLP法による扁桃部の未知の細菌を含めた分画の評価法を確立するため,注目すべき分画の解析を行った.当初,20ほど候補となる分画を決定する予定であったが,咽頭部と口腔内細菌を比較したところ,多くは分画のサイズが非常に近く,分別が困難であった.そのため,メチルメルカプタン検出の有無を基準とし,咽頭部の細菌叢における特徴ある分画を5つ選定することとした.シークエンス解析の準備として,サンプルを電気泳動し,各分画相当部分から,ゲルの切り出しを行った.現在その分画のクローニングを行う準備をしている.
3: やや遅れている
咽頭部細菌叢についてT-RFLP法による注目する分画を20選定予定が,5つしか選定できず,そのシークエンスの準備までしか進まなかった.ゲルの切り出しまではできたのでクローニング直前までは進んだ.
T-RFLP法の特徴ある分画が,少なかったので,サンプリング部位を唾液から歯周ポケットに拡大し,探索的細菌検査の検査対象を広げる.歯周ポケットは,部位により細菌叢が異なることが知られているので,数か所のポケットの細菌をまとめて取り扱う.いずれにしても,口腔内と咽頭部細菌叢とで異なる分画を探索し,シークエンスを検索することを従来の計画と並行して行う.さらに,ゲル切り出しの範囲を広げる.もしくは,典型的に臨床症状が異なる,サンプルが得られれば,全ゲノムの解析を数例でも,行う.
T-RFLP法で今年度選定した5つの分画についてクローニングし,配列を決定する.ライブラリーと比較し,細菌が同定されれば,その菌に注目して,解析を行っていく.もし,未知の菌である場合,プライマーとして使えるかどうかを検討する.あわせて,人を用いて,含嗽の介入試験の予備実験をする.
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J Periodontal Res.
巻: in press ページ: doi: 10.1111
doi: 10.1111/jre.12042.