研究課題/領域番号 |
24593137
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
石原 裕一 愛知学院大学, 歯学部, 准教授 (50261011)
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研究分担者 |
野口 俊英 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (50014262)
三谷 章雄 愛知学院大学, 歯学部, 准教授 (50329611)
小澤 佑介 愛知学院大学, 歯学部, その他 (50624326)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | IL-1 / IL-1Ra / 実験的歯周炎 / 破骨細胞 / 骨芽細胞 / 接着分子 / RNA干渉 |
研究概要 |
歯周組織破壊におけるIL-1Raの影響を調べるために、24年度実施計画していた4つの研究計画を実施したところ、IL-1RaはマクロファージからのIL-1だけでなく他の炎症性サイトカイン産生も制御していることを明らかとし、歯周病原菌菌体成分刺激マクロファージ培養上清による骨髄細胞の破骨細胞分化・活性化にプロスタグランデインE2とその受容体であるEP4が関与している事を明らかとし、論文投稿し、アクセプトされた。またIL-1Ra欠損により実験的歯周炎は重症化し、エックス線画像上での形態計測したところ、IL-1Ra欠損マウスの方が野生型マウスに比べ有意に骨吸収していることが明らかとなり、組織学的に、炎症性細胞浸潤と多数の破骨細胞形成が認められた。また骨芽細胞からの骨関連分子の遺伝子発現は骨吸収を抑制し、骨形成を促進するようにIL-1Raが作用していることが明らかとなった。現在上記の作用がIL-1Raの直接的または間接的作用であるかについて炎症性サイトカイン転写因子の活性化を指標に検討中である。 25年度計画の上皮細胞の接着性分子の発現に関わるIL-1Raの影響については、予備実験として株化ヒト上皮細胞をRNA干渉によりIL-1Raをノックダウンし、接着分子発現をPCRアレイにより解析したところ、IL-1Ra遺伝子発現はRNA干渉により、約1/5に低下し、ほとんどの接着分子発現は低下していることを確認することができた。次年度はその中でも特に発現低下している遺伝子のスクリーニングを行い、候補接着分子のタンパクレベルでの産生と歯周組織での局在についてIL-1Ra欠損マウスを用いて解析する予定である。IL-1Raのリンパ球の表面抗原の発現についても実験系を検討している所である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
課題申請時24年度に計画した4つの実験系はほぼ予定どうり実施することができ、2つの計画は論文投稿とアクセプトされた。実験的歯周炎の病態評価と骨芽細胞の骨関連分子の発現については、投稿準備を行いながら、歯周病原菌に対する血清抗体価の測定、骨関連分子のタンパクレベルでの産生、IL-1Raによる転写因子の活性化、は結果妥当性を向上させると考え追加実験として実施しているところである。しかし,24年度中期以降,遺伝子改変マウスの繁殖が少し低下しており,現在その状況改善を行っている点が研究計画にはなかった所である.以上のことから研究計画はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
申請時25年度計画の接着分子発現にかかわるIL-1Raの影響については、RNA干渉による遺伝子ノックダウンが比較的簡便な方法であるため、24年度中に行ったところ、実験系はほぼ確立することができ,現在,結果の再現性を検討している。マウスの口腔内からの上皮細胞採取についての方法確立に向けて検討中である。
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次年度の研究費の使用計画 |
繰り越し分次年度の研究費はRNA干渉試薬とPCRアレイキットの購入に使用する予定である.ただし遺伝子改変マウスの繁殖状況により実験に適切な週齢のマウスが確保でき十分できた場合,IL-1Ra,IL-1受容体補助タンパク,等IL-1調節タンパクのリコンビナント標品を購入し,動物実験での効果を検討する.
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