研究課題
平成25年度は研究実施計画の中心であるIL-1RaKOマウスでの実験的歯周炎を野生型マウスと比較したところ、良好な結果が得られた。その結果を学術雑誌(Infection and Immunity)に投稿・受理され平成26年5月に公表(volume:82, issue5)されることとなった。以下に簡単にその結果を示す。A.actinomycetemcomitans(A.a.)感染IL-1Ra KOマウスの感染50日後のA.a.血清抗体価は野生型(WT)マウスと比較して有意に高い値を示した。A.a.感染IL-1Ra KOマウスの骨吸収はWTマウスと比較して明らかに進行していた。組織学的に調べたところ、A.a.感染IL-1Ra KOマウスはWTマウスと比較して接合上皮と歯肉固有層に炎症性細胞浸潤、付着の喪失および多数の破骨細胞を骨表面に認めた。IL-1Ra KOマウス由来骨芽細胞はWTマウス由来骨芽細胞と比較して骨吸収に働くRANKL、M-CSF、TNFα、およびIL-6の mRNAの有意な発現増加を認めた。骨形成に関与するRunx2、BSP、OCNおよびALP mRNAの発現低下を認めた。以上の結果から、IL-1RaKOマウスでは炎症性サイトカイン産生の上昇に伴い、破骨細胞分化関連遺伝子発現増加と骨形成関連遺伝子発現抑制が生じ、実験的歯周炎の病態悪化を起こしたと考えられた。今回の結果からIL-1Raは歯周炎診断マーカーや歯周病治療薬として利用できる可能性があることが強く示唆された平成26年度はこれまで調べてきた、骨代謝に関する検討から、IL-1Raの歯肉と歯との付着に与える影響について、研究を継続して行っていく予定である
2: おおむね順調に進展している
25年度までで研究目的の70%以上は達成でき公表できることとなったため
26年度は25年度に実施したIL-1Raの上皮細胞に対する影響についての結果の公表に向けてのまとめと追加実験を実施していく予定である。
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