研究課題
ヒト歯根膜幹細胞は、歯の矯正のため便宜抜去された歯や抜去した埋伏智歯の歯根膜から採取した組織の細切片から分離培養したものである。分離培養した細胞は、間葉系マーカー(ビメンチン)および間葉系幹細胞マーカー(STRO-1、SSEA-4)を用いて免疫組織化学的に確認し、P1又はP2の培養細胞を-80℃で冷凍保存していた。冷凍保存中の細胞を起眠させ、細胞シート回収用温度応答性細胞培養器材である12穴マルチウェルのUpCellに細胞を播種し通常の培養環境下で培養し、温度が37℃より低下しないように素早く、培養液を週2回、交換して完全にコンフルエントになるように培養を行った。培養14日では単一細胞と細胞シートでは明らかに細胞密集度が異なっていた。単一細胞では、細胞密度はまばらであったが、細胞シートでは細胞密度は高く、細胞間の隙間はみられなかった。その後、培養の上清を除去し、PBSで洗浄して培養細胞が乾燥しないように少量の培養液を滴下した。次いで、細胞シート回収用支持体であるCellShifterTM1枚を培養細胞上に静置して室温に戻るまで放置し、細胞がプレートから剥離するまでそのままの状態に維持した。培養細胞がCellShifterTMに移行したのちに、CellShifiterTMを培養液で満たしたシャーレに移した。これを1枚のCellShifterTMにつき6回繰り返し、6層の細胞を張り付けたCellShifterTMを2枚用意し、細胞同士が向き合うように密着させた。これを4%ホルマリンで固定して20%スクロースに浸漬し、-80℃で凍結して凍結切片を作製しDAPIで染色してオールインワン蛍光顕微鏡で観察した。細胞シートの作製には成功したが、これを応用した動物実験の成果をあげるには、まだ至っていない。
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J Periodontol.
巻: 87 ページ: e44-e51
10.1902/jop.2015.150474