研究課題/領域番号 |
24593139
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
大城 希美子 福岡歯科大学, 歯学部, 助教 (50610979)
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研究分担者 |
坂上 竜資 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (50215612)
永井 淳 福岡歯科大学, 歯学部, 准教授 (70252989)
岡部 幸司 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (80224046)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 歯周病 / 破骨細胞 / Cl-輸送 / 高脂血症 / スタチン / ビスフォスフォネート / whole cell patch clamp |
研究概要 |
主な歯牙喪失原因の一つである歯周病において、歯槽骨の病的骨吸収による歯牙の動揺や喪失を予防し治療することは、歯科臨床現場の重要な課題である。また、歯周組織の広範囲な炎症や歯周病原菌と全身疾患との関連性も注目されている。近年、高脂血症と歯周病との関連性が報告され、歯周病が高脂血症を増悪する機構や、高脂血症により破骨細胞の分化が影響を受ける機構が解明されつつある。しかし、破骨細胞の「機能」への影響は不明である。そこで、高脂血症患者の破骨細胞の「機能」が、脂質異常によりどのような影響を受けているのかを詳細に検討することを目的とした。【方法】骨吸収を担う破骨細胞は炎症や各種ホルモン、メカニカルストレスから惹起されたサイトカインにより活性化・極性化してH+とCl-を分泌し、骨ミネラルを溶解する。この酸分泌が阻害されると骨吸収できずに大理石病を呈する。我々は、この酸分泌に関与するCl-輸送が細胞外液の酸性化によって増加する(ICl-, acid)ことを既に報告している。そこで、whole-cell patch clamp法を用い、高脂血症治療薬及びその下流の抑制剤によるICl-, acidの変化を検討した。破骨細胞は、マウス骨髄細胞及びRAW264.7細胞から誘導した。【結果と考察】高脂血症治療薬・スタチンを投与するとICl-, acidが抑制された。さらに、スタチンが抑制するメバロン酸経路の下流を抑制する窒素含有ビスフォスフォネート (N-Bps)及びGGTIでもICl-, acidは抑制された。しかし、非窒素含有ビスフォスフォネートでは抑制されなかった。これらの結果から、高脂血症の抑制剤によって破骨細胞の酸分泌が抑制されることが明らかとなった。今後は、高脂血症の原因物質であるLDLによる影響を検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高脂血症患者の破骨細胞の機能が、どのような影響を受けているのかを詳細に検討することが本研究の目的である。今回、高脂血症治療薬の一つであるスタチン系薬物により破骨細胞酸分泌機能への影響を検討し、その結果を投稿した (Naunyn Schmiedebergs Arch Pharmacol. 2013 in press)。
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今後の研究の推進方策 |
1.歯周病原菌、コレステロールの曝露による破骨細胞の各レセプターの発現変化をRT-PCRにて検討する。 2.変化のあった上記レセプターの強制発現系細胞にwhole-cell patch clamp法を適用し、イオン輸送の変化を検討する。 3.コレステロールによる破骨細胞のシグナルへの影響を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
残存試薬等を用いたため、今年度は購入の必要がないものがあった。次年度は購入の必要があるため、使用予定である。
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