研究課題/領域番号 |
24593140
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
猪飼 紘代 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (20431588)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ヒドロキシルラジカル / 過酸化水素 / 可視光 |
研究概要 |
本研究は、ラジカル殺菌技術をオーラルケアの分野に応用することを目的として行われた。原理として、過酸化水素を含む歯磨剤と、毛先から可視光が放出される歯ブラシを用いて効果的にヒドロキシルラジカルを局所で発生させ、歯面に付着したバイオフィルムの除去・殺菌を行うものである。本年度は、主にブラシ先端から可視光が発生する歯ブラシの試作を行った。ブラシ先端からの導光のためには、歯ブラシの植毛技術に関する知識が必須であり、東大阪市の(株)稲田歯ブラシから「溶着技術」についての情報をいただいた。溶着で植毛した歯ブラシの量産には高額の機械を必要とするが、数本であれば試作可能であり、仙台市の磁化発電ラボ株式会社と、市販の歯ブラシ(柄が透明のものと不透明のもの)を改造する形で溶着歯ブラシの試作を行った。その後、秋田市の(株)ホクシンエレクトロニクスと共同で、その歯ブラシのヘッド部分にエポキシ系樹脂のモールディングでLED基盤を取りつけ、光のon/ offのスイッチと、照度の調整が可能な光る歯ブラシを試作した。このLEDの波長は465~470 nm付近で、紫外領域の波長が0.3%を超えないことを確認した。この試作歯ブラシの先端からは、柄が透明のものは最大で約15 mW、柄が不透明のものは最大で約5 mWの出力が確認できた。また、歯磨き粉に関する研究としては、過酸化水素光分解殺菌法にカテキン類や生薬を併用することにより、過酸化水素濃度を低減化しても、高い殺菌効果が得られることを、殺菌試験により確認したため、この作用を今後応用していきたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
超音波・替えブラシ機能は付与されていないが、現時点で毛の先端から光る歯ブラシの試作は完了している。防水機能も付与されており、実際に口腔内での使用も可能である。歯磨き剤については、当初の予定とは少し異なるが、過酸化水素濃度を低濃度で使用しても、高い濃度で使用した場合と同程度かそれ以上の殺菌効果となるような添加物の検討と、それを用いた殺菌試験を行い、in vitro での高い殺菌効果を確認した。どちらも製品化に向けて開発が進んできている。
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今後の研究の推進方策 |
超音波・替えブラシ機能の搭載や、コードレスタイプへの改良等の民生化を目指した開発を行う前に、24年度に試作した光る歯ブラシを用いた小規模臨床研究を行いたいと考えている。そのため、倫理委員会申請のために必要なデータの採取、本試作歯ブラシの安全性の評価が必要となる。したがって、本年度は倫理委員会申請のために必要なデータの取得と、臨床研究プロトコールの作成、可能であれば小規模臨床研究までを行いたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
LED歯ブラシの試作品を購入する予算として使用する。
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