研究課題
本年度は、試作歯ブラシの臨床研究を行うことを念頭に、試作歯ブラシの追加製作を依頼し、本数を増やした.また、臨床研究を行うにあたり、使用する歯磨剤についての検討を行った.昨年度において、歯磨剤にカテキン類や生薬を添加することにより、殺菌効果がさらに高くなる可能性を示唆し、試作歯磨剤を作成することを考慮して研究をすすめていたが、実際に臨床研究を行う場合、歯磨剤の安全性に関してすでに認可されている市販歯磨剤を使用するのが現実的であることから、各市販歯磨剤を用いた照射時・未照射時のヒドロキシルラジカル量の計測をESRスピントラッピング法にて行った.その結果、群を抜いてヒドロキシルラジカル生成量が多かった市販歯磨剤があったため、それを臨床研究に使用することに決定した.各種市販歯磨剤に含有されている過酸化水素濃度を比色法を用いて計測したところ、ヒドロキシルラジカル生成量と過酸化水素濃度に相関は見られなかった.ヒドロキシルラジカル生成量が多かった市販歯磨剤には、過酸化カルシウムや二酸化チタンが添加されており、これらの分解物から生成されるヒドロキシルラジカルであると推察された.市販歯磨剤に含まれていた最高濃度の過酸化水素は約1.3 mMであり、それと同濃度の過酸化水素試薬を用いてヒト歯肉線維芽細胞の重層培養細胞に対する毒性試験を行ったところ、3分間の照射下においても毒性を示さないという結果が得られた.現在、さらに詳細な安全性データを集積し、臨床研究を行うための倫理申請を行う準備を行っている.
2: おおむね順調に進展している
当初は歯磨剤(過酸化水素ジェル)も開発予定であったが、実際に現在市販の歯磨剤には過酸化水素が微量ながら含有されていること、市販歯磨剤に光照射することでヒドロキシルラジカルが効果的に生成することを突き止め、臨床研究に使用することを決定した。臨床研究は25~26年度で行う予定であったため、歯ブラシと歯磨剤の準備が整ったところで臨床研究推進に向けて着実に進展している。
試作歯ブラシが4本しか作成できなかったため、統計学的なロジックで倫理委員会に申請することは難しいが、遂行可能な範囲内で歯ブラシの使用感の調査や、小規模短期前向き臨床研究を行うことは可能であると考えている。臨床パラメーターを熟考し、臨床研究を行いたいと考えている。
次年度使用額は、25年度か26年度に開始予定としていた臨床研究を、25年度に開始していたら25年度に必要な経費だったが、25年度の開始とはならなかったのでその分を26年度へ持ち越し、臨床研究の実施に必要な経費として26年度請求額と併せて使用する予定である。26年度に臨床研究を開始し、患者謝金、研究費として使用する予定である。
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