研究課題
本年度は、試作光る歯ブラシの臨床研究を行うにあたり、倫理委員会申請書類を作成した。また、前年度に追加して6本の試作歯ブラシを作製した。さらに、市販歯磨剤に含まれる濃度と同程度の低濃度過酸化水素に、ポリフェノールの一種であるプロアントシアニジン(PA)を添加した場合の殺菌効果についても評価した。試験には歯周病原因菌の代表的な菌であるPorphyromonas gingivalis(P. g.)を供試した。光照射ありをLD(+)、光照射なしをLD(-)とし、LD(+)は405 nmのレーザーダイオード(LD)を10 mW・3分間照射した。また、過酸化水素は20 mMと50 mMを設定し、それぞれ過酸化水素のみの場合とPAを1 mg/ml添加した場合の殺菌効果を比較した。その結果、P. g. に対してLD(-)で20 mMや50 mMといった低濃度の過酸化水素を3分間作用させることにより、102 CFU/ml程度の殺菌効果を確認した。10 mW程度の低い出力のLD照射では、過酸化水素光分解殺菌効果は低いが、そこにPAを添加することで、過酸化水素単独より約101 CFU/ml程度殺菌効果が増強することを確認した。また、市販歯磨剤に含まれている過酸化水素濃度は、最大のものが12.8 mM、多くの製品で60 μM程度であったことから、それらの濃度での試験も行った。その結果、60 μMでは、LD照射(15 mW)を行っても殺菌作用は認められなかったが、12.8 mMでは過酸化水素単独でも102 CFU/ml程度の殺菌効果が認められ、LD照射を行うことで、さらに約101 CFU/ml程度の殺菌効果の増強が確認できた。以上の結果から、低濃度過酸化水素と低出力の光でも、P. g. に対しては殺菌効果が認められ、PAを添加することにより、さらに効率良く高い殺菌効果が得られる可能性が示唆された。
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