研究課題/領域番号 |
24593145
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
八木 稔 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (50157963)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 乳歯 / う蝕 / リスク / 予防 |
研究概要 |
【病院ベースのデータの解析と発表】口唇口蓋裂児を対象に定期的な受診を行う臨床う蝕予防プログラムの評価を行い学会で口演発表した。【学会発表】手嶋謡子,八木 稔,朝日藤 寿一,小野和宏:3歳口唇口蓋裂児における乳歯う蝕有病状況調査,第36回日本口蓋裂学会総会・学術集会,2012,京都市. 大学病院に登録され2002-07年にその病院の予防歯科診療室を初診で訪れた口唇口蓋裂児138名の3歳におけるデータを対象として解析を行った結果,対象者の乳歯う蝕有病者の割合は23.9%,乳歯の平均う蝕経験歯数(平均dmf歯数)は0.62(95%CI:0.38-0.86)であった。性別,裂型および生年(2001-07年)に関してカテゴリ―間のう蝕有病状況に差はなかったが,受診回数が増えるとう蝕が減少する傾向が見られた(受診回数vs.平均dmf歯数P<0.01)。片側に裂部を有する86名の上顎前歯左右のペアを比較したところ,う蝕が裂側のみに存在する(18ペア)方が健側のみに存在する(6ペア)方より多かった(McNemar検定P<0.05)。3歳までの受診回数の増加(早いうちからの予防プログラムへの参加)が有効であることが示された。また,裂側の部位に対する指導や予防処置がなお必要であることが示唆された。 【地域ベースの解析データの準備】「前期(1歳から3歳)-乳歯う蝕予防」のため,新潟県の一つの自治体(市)から,その自治体において2004年度から2007年度に出生した小児を対象とした1歳,1歳6か月および3歳の歯科健診データ(匿名化データ,1,324人)の提供を受けた。それによって,う蝕減少期にある現在の乳歯う蝕発生要因に関する解析を行うデータの準備ができた。また,このデータの解析を行った結果,次年度の発表へとつなぐことができるようになった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
地域ベースの解析データを新潟県の一つの自治体(市)から提供してもらえることになったが,そのデータの構築過程において次にあげる理由から予定していたよりも時間が掛かったため;1.個人情報の扱いと研究に必要なデータの抽出との調整,2.フッ化物歯面塗布に関する個人単位のデータの自治体による入力作業,3.自治体,データ管理会社および大学との間のデータ受け渡し手順の調整。
|
今後の研究の推進方策 |
提供を受けた地域ベースの小児の歯科保健データに基づいて,乳歯う蝕のリスク要因について再評価することを目的とした解析 -歯科保健に関連した要因と3歳児のう蝕有病状況との関連についての解析- の一部を行った。今後,さらに解析を進めることによって,その結果を発表していく予定である。また,解析結果に基づく自治体の保健専門職に対するインタビューあるいはアンケート調査を行う。さらに,本テーマに関する課題の所在と研究の方向性を定めるために,学会において「自由集会」を主催し,他の研究者からの本研究に対する批判と新たな情報の提供を受ける。 【発表予定】日本口腔衛生学会(5/15(水)-17(金)松本)において「再考・乳歯う蝕予防」と題した自由集会を開催する。日本健康教育学会(6/22(土)-23(日)千葉)においてフロリデーションに関する共同発表を行い(抄録登録済み),同時に情報を収集する。日本歯科医療管理学会(6/29(土)-30(日)瑞穂)において「新たな時代の乳歯う蝕のリスク評価」と題して口頭発表を行う(抄録受領済み)。日本歯科衛生学会(9/14(土)-16(月)神戸)において「フッ化物歯面塗布の評価」に関する口頭発表を行う(抄録登録済み)。世界予防歯科学会(WCPD:10/9(水)-12(土)Budapest)において「Assesmnent of the caries risk in the deciduous dentition」と題して発表する。日本公衆衛生学会(10/23(水)-25(金)津)において「乳歯う蝕の予防対策」に関する発表を行う。 【論文投稿】昨年度学会発表した内容を論文にまとめる。 【新たなデータの収集】より規模の大きい自治体の歯科保健データの提供を受ける。また,就学前施設における「後期(4歳から6歳)-乳歯う蝕予防」のための歯科保健データを収集する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
1.提供を受けたデータに対する本格的な解析を進めるための解析専用器機,印刷器機および解析用ソフトウェアの費用。 2.解析に必要な書籍等の費用。 3.昨年度中に予定していた解析結果に基づく学会発表のための旅費。 4.昨年度中に予定していた解析結果に基づく自治体の保健専門職に対するインタビューあるいはアンケート調査の費用。
|