研究課題/領域番号 |
24593145
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
八木 稔 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (50157963)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 乳歯う蝕 / う蝕予防 / 疫学調査 |
研究実績の概要 |
乳歯う蝕は公衆衛生的な課題の一つであり、出生後早期に発症し速やかに進行する。「前期;3歳まで」における自治体ベースの歯科健診事業から得られた最近の情報(1,324名、2004-09年)に基づき、1歳6か月児および3歳児における乳歯う蝕に影響を与える要因について横断調査を行ったところ、う蝕有病状況に対して1歳6か月児では「授乳の中止」および「就寝直前の飲食」それぞれとの間に、また同様に3歳児では「保育者による歯みがき」「間食の頻度」および「出生年」それぞれとの間に統計的に有意な関連が認められた。フッ化物歯面塗布は、98%以上の小児が受けていたため、その効果は示されなかった。 「後期;3歳以降5歳まで」に対応して、新潟県における2008-12年度の就学前施設(862施設)おけるう蝕予防に関する歯科保健活動の状況を検索したところ,実施施設数が増加傾向にあった歯科保健活動は,フッ化物洗口およびCO処置の勧奨であり,2012年度における実施施設数は,それぞれ60%以上であった。歯みがきを実施している施設は非常に多かった(95.6%)が、フッ化物配合歯磨剤については実施(3.8%)および推奨(15.1%)とも低い割合であった。 就学前に限定した短期のフッ化物洗口による乳歯う蝕予防効果は明らかでないため、2008-12年度の新潟県における就学前施設の児童(315,119名)を対象に調べたところ、5歳児の乳歯う蝕有病率については、フッ化物洗口児童の方が統計的に有意に高かった。乳歯う蝕については、様々な要因が関与しており、フッ化物洗口の実施が1年間のみでは効果を示すには短すぎたのであろう。一方、就学後2および3年生の永久歯う蝕に対しては16-21ポイントの統計的に有意な効果が見られた。就学前のフッ化物洗口は、永久歯う蝕予防の効果に有意な影響を与えるため,今後とも実施施設の増加が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「前期;3歳まで」の乳歯う蝕予防については、今年度も国際学会(93th IADR / 44th AADR / 39th CADR General Session & Exhibition)において成果を発表し、その解析をほぼ完了したが、まだ論文の完成に至っていない。また「後期;3歳以降5歳まで」の乳歯う蝕予防については、同じく国内学会(第23回 日本健康教育学会学術大会、および第25回日本疫学会学術総会) において成果を発表したが、まだ論文の完成に至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
「前期;3歳まで」および「後期;3歳以降5歳まで」の乳歯う蝕予防に関する成果をそれぞれまとめて論文投稿を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文投稿に至らなかったため、その分の投稿料が執行できなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
残された課題に関連したデータの解析を行い、その成果について国内外の学会において発表し、全ての成果について論文にまとめて学術誌に投稿する。
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