嚥下障害患者68例を対象に,嚥下内視鏡で確認される誤嚥の有無,検査後6カ月間の呼吸器由来の発熱の有無についてカイ二乗検定にて関連を検討した.その結果,誤嚥の有無と発熱の有無には有意な関係が認められなかった.以上の結果から,内視鏡で確認できる誤嚥の有無からは,発熱の有無を予測できないことが示された. 加えて肺炎発症の抵抗因子である気道線毛運動に着目し,線毛運動機能と呼吸器由来の発熱との関連を,誤嚥している高齢者54名を対象に調査した.その結果,発熱なし群と比べて,発熱あり群の方が,線毛運動機能が有意に低下していた.この結果から,気道線毛運動の低下が肺炎発症に関与している可能性が示唆された.
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