研究課題/領域番号 |
24593150
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
久保庭 雅恵 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (00303983)
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研究分担者 |
小島 美樹 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (20263303)
古田 信道 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (50452446)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 国際情報交換 / アメリカ合衆国 / バイオフイルム / Porphyromonas gingivalis / 歯周病 / 口腔細菌 / メタボロミクス |
研究概要 |
口腔常在菌Streptococcus gordonii が有するコリスミ酸結合性酵素Cbeは、基質としてコリスミ酸を結合し、pABA(パラアミノ安息香酸)を産生する。我々はこれまでに、S. gordonii Cbe変異株において、歯周病原性菌Porphyromonas gingivalisとの混合バイオフイルム形成能が著しく低下していることを見いだした。 平成24年度は、まず、S. gordonii Cbe変異株とP. gingivalisとの混合バイオフイルム形成時に培地へpABAを添加することで、混合バイオフイルム形成能が回復することを確認した。 次に、pABAを取り込んだP. gingivalis菌体にどのような変化が生じているのかを観察するため、病原遺伝子群の発現状態を定量RT-PCRで測定し、さらにプロテオミクスおよびメタボロミクスの手法を用いてタンパク質および代謝産物の網羅的解析を実施した。その結果,1)pABA濃度依存的に線毛遺伝子fimA、mfa1の発現が亢進し、タンパク質レベルでもFimA線毛、Mfa線毛の発現量が有意に増加しているとこと、2)異種細菌間シグナル伝達物質であるオートインデューサー2の産生に関与する葉酸誘導体経路およびメチオニン代謝経路が活性化すること、3)バイオフイルムのマトリックス形成に必要な核酸糖やアミノ糖の産生量が増加していること、4)リジン、スレオニン、グルタミン以外の全てのアミノ酸が減少していること、5)スペルミジン、N8-アセチルスペルミジンなどのポリアミン類は、コントロール群では検出されるものの、pABA処理群では検出出来ないレベルまで減少していること、などが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画調書に記載した、平成24年度実施予定である、1)pABA添加によるS. gordonii Cbe変異株とP. gingivalisとの混合バイオフイルム形成回復実験、2)pABA添加によってバイオフイルムへと変化するP. gingivalis菌体のメタボローム解析、3)pABA添加によってバイオフイルムへと変化するP. gingivalis菌体のプロテオーム解析は全て完了した。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画調書に記載したとおり、平成25年度はスペルミジンに代表されるポリアミン類に焦点をあて、P. gingivalisバイオフイルムからの菌体乖離とプランクトニック化の分子メカニズムについて研究を推進する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は異なったが、研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく。
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