研究課題/領域番号 |
24593150
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
久保庭 雅恵 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (00303983)
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研究分担者 |
小島 美樹 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (20263303)
古田 信道 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (50452446)
橋野 恵衣 大阪大学, 歯学部附属病院, 助教 (90614553)
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キーワード | 歯周病原性菌 / Porphyromonas gingivalis / バイオフイルム / メタボローム / ポリアミン |
研究概要 |
平成25年度は、歯周病原性菌Porphyromonas gingivalisと混合バイオフイルムを形成する能力が高い口腔常在菌Streptococcus gordonii、および、新たな歯周病菌として注目され、歯周ポケットよりP. gingivalisと同時に検出される頻度の高いFilifactor alocisなど、異なる菌種との共培養下でP. gingivalisの菌体内メタボロームにどのような変化が生じるかをCE-TOFMSを用いて観察した。その結果、アルギニンに代表される尿素回路の代謝物質について、それぞれ特徴的に濃度が変化することが確認された。 次に、P. gingivalisがアルギニンを代謝し、菌体外に放出するポリアミン前駆体およびポリアミン類が環境中で一定の濃度となった際に、同菌の表現型および菌体内メタボロームに及ぼす影響を詳細に検討した。その結果、環境中に存在する数種のポリアミンおよびその前駆体がP. gingivalisのバイオフイルム形成能およびディスパージョンにそれぞれ異なる作用を及ぼすことが明らかとなった。さらに、同菌のバイオフイルム形成能を亢進させるポリアミン前駆体を培地中に添加した場合、P. gingivalis FimA線毛の発現を制御する二成分制御系遺伝子の発現が亢進すること、バイオフイルムマトリックス中のタンパク質分解に働くプロテアーゼ活性が抑制されること、ピリミジン生合成に関与する代謝物質および嫌気呼吸に関連する代謝物質の濃度が上昇することが示された。 これらのことから、P. gingivalisは環境中より獲得したアルギニンを代謝し、その代謝物を菌体外に放出することで自らの表現型を変化させる能力を有することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた研究内容について、ほぼ予定通り進行している。
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今後の研究の推進方策 |
現在既に、口腔常在菌Streptococcus gordoniiが有するアルギニン-オルニチントランスポーター変異株、およびポリアミントランスポーター変異株を作製済みである。今後はこの菌株を用いて、口腔常在菌と歯周病菌の間に展開されるアルギニン、ポリアミンを介した菌体間相互作用について更なる検討を加える。
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次年度の研究費の使用計画 |
購入希望試薬が8,220円よりも高額だったため、次年度予算が使用可能となった後に購入することとした。 試薬購入に使用する予定である。
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