研究概要 |
平成25年度は,平成24年度に確立した電子スピン共鳴(Electron Spin Resonance; ESR)法や既存の方法を用いた酸化ストレス・抗酸化力の測定と歯周病原性細菌の血清抗体価の定量化による比較目的とした。 まず,神奈川歯科大学ESRセンターの協力のもと,抗酸化力を直接測定する方法を確立し,唾液の抗酸化力を測定した。今回,活性酸素種の中でもヒドロキシルラジカルとスーパーオキシドを特異的に消去する抗酸化力を,ESR法にて測定した。また従来の血清中の酸化ストレス度(ヒドロペルオキシド濃度の測定)と抗酸化力(HClOの減少量の測定)や,歯周病原性細菌(Porphyromonas gingivalis (P. gingivalis), Prevotella intermedia (P. intermedia), Aggregatibacter actinomycetemcomitans (A. actinomycetemcomitans), Eikenella corrodens (E. corrodens))に対する血清抗体価も併せて測定した。その結果,歯周病の状態が悪い者ほど,ヒドロキシルラジカルやスーパーオキシドの消去能が高かった。さらに,歯周病の状態が悪い者ほど,酸化ストレス度とP. gingivalisに対する抗体価が高かった。また,酸化ストレス度とP. gingivalis, P. intermedia, E. corrodensの血清抗体価とは正の相関関係があることも認められた。以上のことから,酸化ストレスの増加が歯周病に有害である可能性が示された。
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