研究実績の概要 |
平成26年度は,神奈川歯科大学ESRセンターの協力のもとに,今までに確立した電子スピン共鳴 (Electron Spin Resonance; ESR) 法や既存の方法を用いて,唾液中の酸化ストレスや抗酸化力,サイトカインの測定を行った。特に活性酸素種の中でもヒドロキシルラジカルとスーパーオキシドを特異的に消去する抗酸化力を,ESR法を用いて測定した。さらに,マルチプレックス・ビーズ・ベースのキットを用いて,唾液中の8種類のサイトカイン [interleukin (IL)-1β, IL-6, IL-8, IL-10, interferon gamma (IFN-γ), tumor necrosis factor-alpha (TNF-α), platelet-derived growth factor (PDGF)と vascular endothelial growth factor (VEGF)]の濃度を併せて測定した。その結果,歯周病の状態が悪化している者ほど,唾液のヒドロキシルラジカルやスーパーオキシドの消去能が高く,歯周病の各臨床指標の悪化ともこれらの消去能は関連していた。さらにサイトカインでは,唾液中のIL-1β, IL-6とIL-8の濃度が歯周病の状態が悪い者ほど高い結果が示された。これらのことから,ESR法を用いて評価された唾液中のヒドロキシルラジカルやスーパーオキシドの消去能の上昇と,歯周病やその臨床指標との関連性が深い可能性が示唆された。
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