研究課題/領域番号 |
24593158
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
古堅 麗子 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (90253674)
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研究分担者 |
齋藤 俊行 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (10170515)
林田 秀明 長崎大学, 大学病院, 講師 (20238140)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 歯周病 / アディポカイン |
研究概要 |
まず、ヒト由来好中球において、歯周病関連細菌由来因子およびLPSで刺激したところアディポカインの1つで炎症との関連が示唆されているレジスチンの培養液中への存在を認めたが、好中球内で新たに生成されたのではなく、好中球顆粒内に存在していたレジスチンが放出されたことがわかった。そのシグナル伝達経路について、各種中和抗体を用いて解析を行ったところ、ERK1/2の関与はほとんど認めず、PI3Kやp38MAPKとの強い関連を認めた。また、ヒト単球においても、レジスチンの培養液中への存在を認めたが、単球においては、新たに生成されていることが示唆された。さらにヒト由来肝細胞癌株であるHepG2細胞を歯周病関連細菌由来因子およびLPSで刺激したところレジスチンについてはほとんど変化を認めなかったが、他のアディポカインであるPAI-1の発現を認め、歯周病関連細菌由来因子およびLPSの各種濃度や培養時間ごとにタンパクおよび遺伝子レベルでの解析を行なっている。また好中球においては培養液中にPTX3も認めたことから、PAI-1と同様に、血栓形成にも関与することが報告されているこれらが歯周病由来LPSで誘導されたことより、HepG2細胞と好中球および単球との共培養での実験も行っている
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞培養条件の設定およびELISAやRT-PCRなどの実験方法についても、問題なく進められている。ヒト肝細胞と血管内皮細胞単独、またはヒト由来単球および好中球、単球系細胞との共培養条件下で、歯周病関連細菌菌体またはLPSで刺激し、レジスチンやPAI-1、各種サイトカインの発現について転写制御レベルおよび翻訳レベルでの解析を行うことが目的であるが、一部についてはすでに満足できる結果を得ることができ、実験系の構築も順調であり、今後さらなる研究の進展が見込まれるため。
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今後の研究の推進方策 |
各種刺激後の肝細胞における各種LPSおよび菌体による脂肪変性をOil Red O染色で評価する。さらに、肝細胞、血管内皮細胞においてLPSでの刺激前に、各種RNA干渉誘導ベクターにより細胞にトランスフェクションする。LPSをトランスフェクションした細胞に添加し、経時的に採取した培養細胞からの発現をELISAにより培養上清中レベル、RT-PCRによりmRNAレベルで解析する。肝細胞、血管内皮細胞と単球、好中球培養系において、多光子レーザー顕微鏡(学内共同研究室に設置済)を用いて、細胞内の各種アディポカイン、サイトカイン発現の局在を解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
各種シグナル伝達関連抗体によるレジスチン、PAI-1、TNF-α、IL-6、MCP-1発現への影響をみるため、抗体処理後LPSで刺激後に培養上清を回収し、ELISAにて各種サイトカイン、アディポカイン産生量を比較するため、JNK、MAPKに関連する各種抗体(SP600125、LY294002、PD98059、SB203580)を準備する。また、血管内皮細胞と単球、好中球の共培養において各種LPSおよび菌体による刺激後の遊走度を比較するため、遊走試験用プレートを用いる。
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