研究課題/領域番号 |
24593160
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
村上 格 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (80264448)
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研究分担者 |
長岡 英一 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 客員研究員 (00028812)
西 恭宏 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (10189251)
松尾 美樹 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (20527048)
田中 帝臣 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (40613146)
鎌下 祐次 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (90224641)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 口腔乾燥 / 口腔細菌 / 保湿剤 |
研究概要 |
効果的な保湿方法を明確にすることは,保湿剤の選択基準を確立し,個々の患者のQOLの向上に寄与するだけでなく,口腔乾燥患者の治療効果を向上させる.本研究の目的は,効果的な保湿が口腔乾燥を有する義歯患者の口腔ならびに咽頭の細菌叢を正常化し,全身感染症の起因菌を減少させるという仮説を検証するものである.平成24年度は,臨床実験を行う上で必要な代表的保湿剤を選択するため,保湿剤の蒸散性と粘度の計測を行った.蒸散性は,インキュベーター内の温度を36℃,湿度を85%と40%とし,各種保湿剤の8時間後の残存重量率を算出して評価した.残存重量に保湿剤の種類および湿度が及ぼす影響を検討した結果,どちらの湿度でもジェル系保湿剤の残存率がリキッド系保湿剤や蒸留水に比べ有意に高く,どの保湿剤でも湿度の高い場合に残存率が有意に高い値を示した.粘度は,上記2条件において粘弾性測定機を用いて測定した.保湿条件,保湿剤の種類が粘度が与える影響を分析した結果,どちらの湿度でもジェル系保湿剤,リキッド系保湿剤,蒸留水の順に粘度が高く,ジェル系保湿剤のみ,湿度の影響が認められた.保湿剤の抗菌性については,口腔乾燥患者から頻繁に検出される黄色ブドウ球菌を用いて,培地上での発育阻止帯を用いて評価することを計画したが,予備実験にて,培地上での各種保湿剤の流れが異なるため,培地に直径7mmの穴をあけて保湿剤を注入するspot on lawn変法を用いる必要性が明らかとなった.8時間後の発育阻止帯を比較した結果,リキッド系保湿剤,ジェル系保湿剤ともに,保湿剤の種類により抗菌性に大きな差が認められた. 以上の結果から,保湿剤の適用方法については,種類だけでなく,湿度がその性質に大きく影響を及ぼすことが明らかとなり,今後の研究では,さらに湿度を考慮した場合の細菌学的検討も必要である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度に計画した,保湿剤の性状に関する基礎的実験は概ね予定通り進行しているが,細菌学的評価については,湿度を考慮した追加実験とカンジダ菌についての追加実験が必要となった.これら細菌学的結果と理工学的評価の関係の検証も必要である.これらと並行して,臨床実験に向けての代表的保湿剤の選択について準備が必要である.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,これまで計測した理工学的結果の蒸散性と粘度の関係についての調査,ならびに保湿剤の蒸散性の結果より,保湿剤の水分中に含まれると考えられる抗菌成分の効果が経時的に変化する可能性があり,保湿剤の蒸散や乾燥による抗菌性の低下について,追加実験が必要である.また,対象細菌については,ブドウ球菌同様に口腔乾燥患者から検出されることの多いカンジダ菌について追加実験が必要である.また,得られた細菌学的結果と理工学的結果の関連性についての検討も必要である.これらの結果から,臨床実験に使用する代表的保湿剤を数種類選択する. また,口腔乾燥義歯患者を対象に,適用量,適用方法(単独適用,ジェルとの併用),保湿装置の設計の違い(歯列型,全部床型)についての条件を設定し,適用前後の口腔水分量,口腔乾燥感,使用感を調査し,効果的な保湿条件を明らかにする.
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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