研究課題/領域番号 |
24593160
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
村上 格 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (80264448)
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研究分担者 |
長岡 英一 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 研究員 (00028812)
西 恭宏 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (10189251)
松尾 美樹 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (20527048)
田中 帝臣 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (40613146)
鎌下 祐次 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (90224641)
西村 正宏 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (00294570)
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キーワード | 口腔乾燥 / 口腔細菌 / 保湿剤 |
研究概要 |
平成25年度は,まず保湿剤の蒸散性と粘度に着目し口腔保湿剤の種類や湿度が口腔保湿剤の残存重量ならびに粘度に及ぼす影響を検討した.インキュベーター内の温度を37℃,湿度を85%ならびに40%とした2条件における口腔保湿剤17種の計測開始時と8時間後の重量ならびに粘度を計測し,重量変化率ならびに粘度変化率を算出した.重量変化率ならびに粘度変化率に口腔保湿剤のタイプと湿度が与える影響について2元配置分散分析と多重比較を行った.保湿剤の重量変化率と粘度変化率の関係についてPearson の相関分析を行った.その結果,全ての保湿剤において8時間後の重量は減少し,粘度は増加した.湿度にかかわらず,ジェルタイプは,重量変化率がリキッドタイプに比べ有意に小さく,粘度変化率がリキッドタイプに比べ有意に大きかった.また,保湿剤のタイプにかかわらず,湿度40%における重量変化率ならびに粘度変化率は,湿度85%における重量変化率ならびに粘度変化率に比べ有意に大きかった.リキッドタイプにおける重量変化率と粘度変化率の間に有意な相関関係は認められなかったが,ジェルタイプにおける重量変化率と粘度変化率の間に有意な負の相関が認められた.以上の結果より,口腔保湿剤のタイプや湿度は,口腔保湿剤の重量ならびに粘度の変化に影響を及ぼし,ジェルタイプは乾燥による重量の減少に伴い粘度が増加することから,重度の乾燥状態に長時間の保湿を目的としてジェルタイプを使用する場合は,重量と粘度の変化が少ない製品の選択が有効であることが示唆された.現在は,口腔乾燥患者から頻繁に検出される黄色ブドウ球菌やカンジダ菌を用いて培地上での抗菌性を評価している.spot on lawn変法を用い開封直後と8時間後の発育阻止帯を比較してデータ収集中である.今後は,さらに分析を進め理工学的,細菌学的観点から保湿剤選択の根拠を明示したい.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度に計画した保湿剤の理工学的特性に関する基礎的実験は概ね予定通り進行したが,細菌学的評価については,湿度や係留時間を考慮した追加実験が必要となった.今後は,これら理工学的評価結果と細菌学的評価結果を分析し,代表的保湿剤の選択のために選択基準の明示を行う予定である.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,粘度や残存重量などの理工学的評価結果と抗菌性に関する細菌学的評価結果から保湿剤の選択基準を確立する.さらに,口腔乾燥義歯患者を対象に,適用量,適用方法,についての条件を設定し,適用前後の口腔水分量,口腔乾燥感,使用感などを調査し,効果的な保湿条件を明らかにする予定である.
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