研究課題/領域番号 |
24593162
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
筑丸 寛 横浜市立大学, 医学部, 助教 (80217231)
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研究分担者 |
上田 敦久 横浜市立大学, 附属病院, 准教授 (60295483)
光藤 健司 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (70303641)
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キーワード | がんスクリーニング / 口腔癌 / 口腔前癌病変 / 癌 / 前癌病変 |
研究概要 |
本研究では悪性腫瘍として口腔癌を取り上げ、実際にHIV感染者を対象とした口腔癌スクリーニングを行い、口腔癌の罹患率、口腔の前癌病変、前癌状態の罹患率、口腔癌のリスク要因を明らかにする。また、HIV感染者の口腔癌のスクリーニング体制を整備することも本研究の目的とする。 平成24年度にパイロット調査を行い、平成25年度に本調査を開始した。準備などについては平成24年度の報告書に記載した。平成25年度調査では67名のHIV感染者について、対象者のリスト登録、口腔がんスクリーニングの実施、スクリーニング結果および調査、票の記載が終了しデータベースに登録した。さらに平成25年度研究ではコントロールとして神奈川県歯科医師会で実施している、神奈川県口腔がん検診プロジェクト(2013年)の受診者935名の結果を入手しデータを調整しデータベースに登録した。データベースに登録された結果では、HIV感染者に口腔癌は見られなかったが10名に口腔前癌病変が見られた。また、コントロールでは1名に口腔癌がみられ46名に口腔前癌病変が見られた。HIV感染者に口腔癌が見らなかったため、これらの結果のうち口腔前癌病変についてロジステイック回帰分析を用いて解析した。 解析結果では、口腔前癌病変のリスク因子としてHIV感染と現在の喫煙がそれぞれ独立して挙げられた。オッズ比は各々2.533、2.862でHIV感染は喫煙と同程度に口腔前癌病変のリスクを高めることが示された。また、対象としたHIV感染者の平均年齢が49.6歳と若いことを考えると今後の口腔癌発症のリスクは高いものと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究で口腔前癌病変に関してHIV感染者は発症リスクが高いことが示された。これは、調査グループの平均年齢が低いことを考えると、今後の口腔癌の発症リスクが高くなることを予測する結果である。また、このオッズ比がすでに口腔癌の強いリスク因子として確立している喫煙と同程度であることから、HIV感染は口腔癌の強いリスク因子となることが予測される。このことは今後のHIV感染者の口腔癌発症への対応策を考えるうえで非常に重要な知見と考えられ研究の目的はほぼ達成された。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究ではこれまでに得られた結果のまとめおよび発表を行う。 現在 20th International AIDS Conference に演題提出している。また、国際誌への投稿も予定している。 さらに、これまでの知見をもとにして、HIV感染者の口腔癌スクリーニング体制確立のための活動も予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究ではHIV感染者のデータを扱うために、個人情報の保護について十分な配慮をする必要がある。そのため、研究結果の保管および解析には厳重なセキュリティ機能を持つコンピューターが必要となる。そこで、ハードウエア的に厳重なセキュリティ機能を持つコンピューターを発注したところメーカでの在庫切れで25年度内の購入ができず26年度購入となった。また、口腔癌のリスク因子としてHPV感染が予測されるためにこれまでの被験者も含めてHPV DNAの測定を行う予定であったが、測定体制の整備が遅れたためこれも年度明けに持ち越した。 25年度研究では、上記の持ち越し課題に加えて、国際学会での発表、国際誌への投稿を予定しているので、そのための費用が必要になる。
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