研究課題/領域番号 |
24593162
|
研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
筑丸 寛 横浜市立大学, 医学部, 助教 (80217231)
|
研究分担者 |
上田 敦久 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (60295483)
光藤 健司 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (70303641)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 口腔がんスクリーニング / 口腔癌 / 口腔前癌病変 / HIV感染者 / 非AIDS指標悪性腫瘍 |
研究実績の概要 |
HIV感染者の口腔癌および口腔前癌病変の発症について口腔がんスクリーニングを行い検討した。 対象は横浜市立大学附属病院でHIV感染症の治療を行っている患者で口腔癌スクリーニング受診を希望した者とした。2014年度末までに70名についての検討を行った。スクリーニングは調査票による 既往歴、家族歴、喫煙・飲酒歴などの調査、視診、触診による口腔内診査を行った。診査で異常が認められた場合は病理組織学的に診断した。コントロールは同期間に同一のプロトコールで実施した神奈川県口腔がん検診の受診者935名とした。 HIV感染者は63名が男性、7名が女性、平均年齢は49.6歳だった。このうち 22.1%に喫煙歴、13.4%に習慣的飲酒歴、34.3%に悪性腫瘍の家族歴が見られた。コントロール群は 241名が男性、694名が女性、平均年齢は64.1歳だった。喫煙歴、習慣的飲酒歴、悪性腫瘍の家族歴はそれぞれ5.6%、12.0%、46.1%に見られた。これまでの検討ではHIV感染者に口腔癌は見られなかったが10例(14.9%)に口腔前癌病変が見られた。コントロール群では4.9%が前癌病変と診断された。前癌病変の発症リスクについて多変量解析で検討した結果HIV感染者は平均年齢が低いにもかかわらず口腔前癌病変の発症率が高く(OR 2.553; 95% CI 1.106-5.892; p = .028)かった。 これによりHIV感染は口腔前癌病変のリスク因子の一つである可能性が考えられる。 上記結果の一部について第28回日本エイズ学会学術集会、ワークショップ2:悪性腫瘍で発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定より対象数は少ないものの、ほぼ予定通りの検討が行われた。 スクリーニングによって口腔癌は確認できなかったが、口腔前癌病変が多数に認められほぼ予測された結果が得られた。 これら研究結果について第28回日本エイズ学会のワークショップにて発表した。 以上より研究の進行、結果、公表に関しておおむね順調に進行しているものと考える。
|
今後の研究の推進方策 |
昨年度までの研究によるスクリーニングで確認された口腔病変につきより詳細に検討する。特に、口腔前癌病変については保存されている病理組織標本からHuman papillomavirus (HPV)の検出を行う。その検討結果を含めて国内外の学会での報告、論文報告を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成25、26年度に実施したスクリーニングで予想以上に多くの多くの口腔前癌病変が見つかったため、見つかった口腔前癌病変のより詳細な検討が必要と考えた。口腔前癌病変の検討として、HIV感染者の発癌に大きく関与しているとされるHuman papillomavirus (HPV) の検討を追加することとした。国際学会への発表および論文作成はこの検討終了後へと延期したため未使用額が発生した。
|
次年度使用額の使用計画 |
これまでのスクリーニングで確認された口腔前癌病変の、保存されている、病理組織標本からのHuman papillomavirus (HPV) の検出を行うための検査費用。その結果を含めた成果の国際学会での発表および論文作成費用に充てる。
|