研究課題/領域番号 |
24593168
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
田村 宗明 日本大学, 歯学部, 助教 (30227293)
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研究分担者 |
植田 耕一郎 日本大学, 歯学部, 教授 (80313518)
落合 邦康 日本大学, 歯学部, 教授 (50095444)
泉福 英信 国立感染症研究所, 細菌第一部第六室, 室長 (20250186)
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キーワード | 高齢者 / 医療・福祉 / 口腔ケア / 老化 |
研究概要 |
申請者らは天然抗菌成分のカテキンを含有するジェルを開発した。今回,口腔カンジダ症の原因真菌であるCandida albicansに着目し,以下の実験を行った。カテキンジェルがこの真菌の病原性因子に及ぼす影響について検討したところ,付着能とタンパク分解酵素産生能が抑制され,さらにこれらの病原性因子タンパク産生に関連するmRNAの発現量の低下も確認した。カンジダ感染ラットを作製し,プラセボジェルとカテキンジェルを塗布した後,それぞれの舌切片を作製して染色して付着C. albicansを観察した結果,プラセボジェル群では病原性を発揮する菌糸形を呈し顆粒層まで菌が侵入していたのに対し,カテキンジェル群では菌そのものが観察されなかった。また,口腔内にカテキンジェルを塗布した中年ラットの血液中の活性酸素量は減少していた。一方,他の天然抗菌成分として黄金草のオウゴンエキス,ワサビ成分のアリルイソチオシアネート,タマネギ皮の成分であるケルセチンおよび天然抗菌成分ではないが新規バイオマテリアルのC. albicans病原性因子への影響を検討したところ,差は見られたが抑制効果を発揮していた。これらの結果から,カテキンジェルおよび他の供試成分は真菌症の予防に有用であると思われ,臨床応用,特に高齢者の口腔内外の真菌症発症予防の可能性が示唆された。さらにこれらの成分は歯周病原菌の発育も抑制していた。一方,in vivoでの抗菌効果を確認のため,数多くの被験者に抗菌ジェルを塗布する実験を行っており,現在菌叢の変化を解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の実験計画に対して,1.カテキンのみならず天然成分のケルセチン,アリルチオシアネートや新規バイオマテリアルの口腔常在菌に対する発育および病原性抑制効果を確認し,新たな口腔ケア用の抗菌成分を見い出した。 2. カテキンのみならず,他の天然抗菌成分による歯周病原菌の発育抑制効果を確認したが,その抗菌機序については未検討であり今後の課題となった。 3. C. albicans に対する抗菌効果について検討したところ,カテキン,ケルセチン,アリルチオシアネートおよび新規バイオマテリアルは発育および病原性因子を抑制していた。 4. カンジダ感染ラットの口腔にカテキンジェルを15日以上塗抹することによって口腔内のC. albicansが排除され,それに伴って腸管や糞便からも検出されなくなり,カテキンジェルが口腔カンジダ数減少と消化器官への移行を抑制する可能性が示唆された。さらにカテキンジェル塗布中年ラットの血中カタラーゼおよびSOD活性を測定した結果,抗酸化状態となることからアンチエイジング効果が期待できた。5. ヒト口腔でのカテキン抗菌効果は被験者数を増やしてサンプルを回収中であり,平成25年度中に解析まで終えられなかったことが残念である。 これらの結果,おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度はより臨床応用への可能性を検討する。In vivoにおいて,これらの抗菌ジェルを供試し,ヒト臨床試験において口腔内細菌叢の変化をReal Time PCR法のみならず,次世代シークエンサーを用いた解析を多数検体に対して行う。また,カンジダ感染ラット実験で得られた実験結果を参考に,ヒトにおける口腔へのカテキンジェル塗布による口腔および糞便中のCandida albicans(Candida属)菌数への影響について検討する。(日本大学歯学部倫理委員会承認済みで本実験に賛同して頂ける病院機関も決定している)一方,In vitroにおいて,歯周病原菌に対するこれら天然抗菌成分の抗菌機序についても詳細に検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額が生じた理由として,開発した抗菌ジェルを供試してヒト臨床試験における口腔内細菌叢の変化をReal Time PCR法で検討する予定であったが,当初の予定よりもサンプル数が多く現在も回収中である。そこですべてのサンプルを回収してから解析することになったため,菌種特異プライマーやReal Time PCR試薬の購入を遅らせてしまったことによる。 計画として 1. 現在進行中の抗菌ジェル塗布の臨床サンプル(唾液および口腔洗浄液)輸送,サンプル中の細菌叢解析および口腔内上皮細胞の抗酸化状態の測定,2. 抗菌ジェルの歯周病原菌に対する抗菌機序の解明,3. 抗菌ジェルのC. albicansの病原性因子である付着能,二形性変換およびタンパク分解酵素産生能への影響の解明,4. 各研究分担者による本研究のまとめ,さらに 5. 得られた研究成果の国内外での学会発表および論文作成・投稿に使用する予定である。
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