研究課題/領域番号 |
24593170
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
田中 とも子 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (70307958)
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研究分担者 |
八重垣 健 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (40166468)
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キーワード | 生活習慣病 / 健康教育 / ヘルスプロモーション |
研究概要 |
我々は健康増進能力開発を目的とした児童のための健康教育教材を開発し、この教材を用いた教育を平成19年より実施している。今回は教育効果および自己管理能力向上による行動変容への影響について検討した。 対象は、沖縄県某市と神奈川県某市在住の調査開始時小学3・4年生561名で、研究参加の同意が得られた者とした。生活習慣・環境、歯科予防行動、健康知識、自己管理能力などを調査し、口腔状況はdf 、DMF、OHI-S、PMAについて調査した。なお、平成19~24年の調査期間中、各学校で3年間のコホート研究を行った。 対象を無作為に従来の学校保健教育を受ける群(従来群)と従来の学校保健教育に加えて問題解決型健康教育を受ける群(教育群)に分けた。歯科疾患を教材としてコーチングを取り入れ作成した教材による教育の実施にあたっては7人程度のグループを作り、教育担当を歯科衛生士1人とした。統計解析にはWilcoxonの符号付き順位検定と二項ロジスティック回帰分析(ステップワイズ法)を用いた。 調査開始・終了時での変化を分析したところ、dD歯数とOHI-Sは従来群と教育群ともに改善がみられた(p<0.01)が、PMAでは従来群のみであった。自己管理能力は教育群のみにスコアの向上がみられた(p<0.01)。さらに、行動変容に影響を与える要因を検討するため、生活環境と健康習慣因子、自己管理スキルスコア(行動分野・思考分野)を投入し、ロジスティック回帰分析を行った。その結果、「宿題を早めにする」との行動変容に対し、出生順位(OR=0.48)と自己管理スキルスコア(行動分野:OR=1.12、思考分野:OR=1.26)に有意な関連(ともにp<0.05)がみられた。 以上の結果から環境因子とともに自己管理力向上は行動変容に影響があることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は研究計画調書にあるようにテスト群・対照群に初年度と同様の健康調査・口腔健診を行うとともに、保健行動・口腔関連QOL・環境因子の調査を質問票で調査した。 この結果から、目標の達成が難しい因子を抽出して、初年度の教材を改良し、ヘルスプロモーション介入した。 しかし、対象の調査同意率が当初の予定より少ないため、研究の現在までの達成度は「おおむね順調に進展している。」とした。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は今年度と同じ研究対象者に対し、同様の健康調査・口腔健診、保健行動・口腔関連QOL・環境因子の調査を行う。また、対照群にも同様の調査を行う。その結果から、2年以上にわたるヘルスプロモーション活動における健康状態や保健行動などの改善の程度を総括し、平成24年度と比較する。 以上より、より適正な目標値を設定したヘルスプロモーションにより、生活習慣、保健行動そして自己管理スキルが改善することを確認する。また、目標設定の妥当性を検討し、平成24年度に策定した仮の公式に一定の定数あるいは新たな変数を加え、その妥当性の向上を図る。なお、対象の調査同意率が当初の予定より少ないため、条件のあった過去の調査データを加えて研究成果をまとめる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
調査実施日の早期決定による出張旅費の節約と調査票配布時封筒の印刷方法改善・工夫により物品費削減が図れたため。 より調査結果の分析を効率的に行うため、より高機能な最新の統計解析ソフトの購入に使用する計画を立てている。
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