研究課題/領域番号 |
24593172
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研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
渡辺 清子 神奈川歯科大学, 歯学研究科(研究院), 講師 (70148021)
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研究分担者 |
浜田 信城 神奈川歯科大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (20247315)
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キーワード | 植物由来ポリフェノール / 歯周炎 / 付着・定着阻害 / 破骨細胞分化誘導抑制 |
研究概要 |
本研究は、日常的に摂取する食品やサプリメントによる歯周病予防効果の評価を目的としている。平成24年度はラットを用いた歯周病モデル実験での抑制効果を確認した。当該年度(平成25年度)は、松樹皮由来ポリフェノールおよび鶏血藤について細胞培養実験系を用いて①P. gingivalis のヒト歯肉上皮細胞への付着阻害、②破骨細胞分化誘導抑制効果について検討した。 ①歯周病原細菌であるP. gingivalis はヒト歯肉上皮細胞へ付着することが知られている。この際、P. gingivalis を松樹皮由来ポリフェノールを用いて前処理を行った結果、濃度依存的に顕著な付着阻害作用が認められた。また、松樹皮由来ポリフェノールには、P. gingivalis の細胞内侵入性に対する阻害効果も認められた。 ②破骨細胞の分化は、Type I-Pコラーゲンで表面処理した48well plateに5-10週齢のBALB/cマウスの大腿骨から採取した骨髄細胞と破骨細胞の分化支持能を持つ細胞であるMC3T3-G2/PA6を10%FBS、M-CSF、ビタミンD3、デキサメタゾンを含むα-MEM培地で7日間共培養することにより誘導した。この培養系に種々の濃度の松樹皮由来ポリフェノールあるいは鶏血藤を添加した場合、3核以上のTRAP陽性破骨細数が明らかに減少し、破骨細胞分化誘導を抑制することが明らかとなった。さらに、破骨細胞の活性化抑制について、5-10週齢のBALB/c マウスの大腿骨から採取した骨髄細胞をM-CSF、RANKLを含むα-MEM培地で7日間培養し形成した成熟破骨細胞に種々の濃度の松樹皮由来ポリフェノールおよび鶏血藤を添加すると、成熟破骨細胞のアポトーシスが誘導されることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度はラットを用いた実験的歯周炎において、鶏血藤、松樹皮由来ポリフェノールを投与することにより、歯周炎の特徴である歯槽骨吸収を抑制することが明らかとなった。そこで、当該年度はこれらの植物由来成分が骨吸収の原因となる破骨細胞の分化を抑制するかについて検討した結果、有意な抑制効果が認められた。破骨細胞の分化や活性化の抑制に関しては、茶カテキンなどを用いた研究でも報告されており、本研究でも予想されたものである。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度までの研究結果から、植物由来成分は、P. gingivalis をラットに感染させて惹起させる歯周炎を抑制し、破骨細胞分化・活性化に対する抑制作用を有することが明らかとなった。 今後は、効果の認められた植物由来成分を配合したガムまたは飲料水を作製し、日常的に摂取することによる口腔状態の改善について検討する。
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