研究課題
基盤研究(C)
現在でも歯石形成のメカニズムは明らかではない。歯周病は喫煙習慣、肥満、糖尿病との関連から生活習慣病として位置づけられている。本研究課題では、歯石形成に酸化LDLがどのように関与するかを検討し、人工歯石形成の系により酸化LDLの歯石との関与について証明することを目的とする。平成24年度では、人工歯石形成の系を確立するために、Flow cellを用いた動的な系の確立を目標とした。リン酸とカルシウムは一定のpH以上では、緩衝液を混ぜただけでリン酸カルシウムの沈殿を生じてしまう。このため、静的な系では、LDH等の物質がなくても結晶を生じてしまう。このため、静的な系は不適切であり、動的な系を確立する必要があった。動的な系では、Flow cellの中にタンパク質吸着性の膜を固定し、この膜に今回検討を目的とした物質である、HDL,LDL、酸化LDLを吸着させリン酸、カルシウムを含む緩衝液を持続的に流し、石灰化形成を試みた。前述のようにリン酸とカルシウムは一定のpH以上では、緩衝液を混ぜただけでリン酸カルシウムの沈殿を生じてしまうため、それぞれの物質を含む緩衝液を別々に流し条件検討を行った。検討した条件はpH.リン酸を含む緩衝液の組成、リン酸の濃度、カルシウムを含む緩衝液の組成、カルシウムの濃度、緩衝液を流した後の洗浄液の組成、洗浄時間等である。この条件検討の結果、リン酸を含む緩衝液としてリン酸アンモニウム、カルシウムを含む緩衝液として硝酸カルシウムが適切であり、リン酸を含む緩衝液を流す時間は24時間その後ミリQ水による洗浄24時間、カルシウムを含む緩衝液を流す時間が24時間、その後ミリQ水による洗浄24時間、以上を3回繰り返すことによって膜上に結晶が観察できることが明らかになった。
1: 当初の計画以上に進展している
本研究課題の根幹である石灰化結晶生成、観察の系を確立したため。
LDL検出のためのELISA、ウエスタンブロット系の確立、ハイドロキシアパタイトとLDL、酸化LDLを混和し、免疫染色を行い蛍光顕微鏡で観察することによってハイドロキシアパタイトとLDL、酸化LDLの結合能を評価する系の確立を継続し行うとともに、Flow cellの系により生成に成功したリン酸カルシウム結晶の構成成分をマイクロX線回折で検討する。
LDL検出のためのELISA、ウエスタンブロット系の確立のための抗体購入費用、サンプル収集費用、ハイドロキシアパタイトとLDL、酸化LDLの結合能を評価する系の確立のための抗体、蛍光抗体等の購入費用、Flow cellの系により生成に成功したリン酸カルシウム結晶の構成成分の分析費用が必要となる。さらに研究結果を国内学会、国際学会で発表するための旅費が必要である。
すべて 2012
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (1件)
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