研究課題/領域番号 |
24593177
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 松本歯科大学 |
研究代表者 |
小笠原 正 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (10167314)
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研究分担者 |
柿木 保明 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (10420762)
長谷川 博雅 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (60164828)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 口腔乾燥 / 剥離上皮膜 / 要介護高齢者 / 経管栄養 / 歯科 |
研究概要 |
1.口腔内付着物の病理学的特徴の解明 調査は、病院に入院中の要介護者70名を対象として調査を行った。口腔内付着物が形成されている部位を直視下で観察し、形成部位を記録した。剥離上皮膜をピンセットで採取し、病理標本を作成した。採取された膜状物質は、舌背部に17例、口蓋部に16例、歯面に8例、頬部に7例であった。鏡顕的所見にて全例に重層扁平上皮の存在を確認できたので、これらはすべて口腔粘膜の重層扁平上皮由来の剥離上皮膜と診断した。 2.口腔内付着物の形成要因 年齢、疾患、常用薬、寝たきり度、意識レベル、意思疎通の有無、発語の可否、介助磨きの頻度は担当看護師から聴取するとともに、懐中電灯とミラーにより歯科医師が膜状物質の形成の有無、Gingival Index、開口状態の有無、舌苔(小島の分類)、粘膜保湿度(舌背部、舌下粘膜)の評価を行い、剥離上皮膜の形成に関与する要因を部位毎に検討した。すべての部位において剥離上皮膜の形成に最も優先される要因は「摂食状況」であり、経口摂取者には、剥離上皮膜がみられなかった。舌背と口蓋部では、次に優先度が高かった要因は、「舌背乾燥」であった。舌下粘膜の保湿度と関連がなかったので、唾液分泌量に依存しない口腔粘膜の乾燥であることを示唆していた。この2つの要因は、口腔機能が失われている要介護高齢者に関連するものであり、口腔粘膜の乾燥が原因であることが示唆された。歯面において次に優先される要因は、現在歯数であった。これは、剥離上皮膜が付着する歯の存在を示すものであった。歯における3番目の要因と頬部の2番目に優先される要因は「開口」であった。常時開口している者は、歯や口唇、そして頬粘膜が乾燥しやすいために剥離上皮膜が形成される要因として考えられた。以上、剥離上皮膜の形成要因には口腔乾燥があり、保湿の維持が剥離上皮膜の予防につながることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査対象となった病院の積極的な協力と研究協力者の調査するための時間の確保もスムーズにでき、調査自体を順調にすすめることができた。また時間のかかる病理標本の作製についても分担研究者の全面協力体制のもとにスムーズに進めることができた。付着物の重層扁平上皮由来の角質変性物が大半を占めていることは、確認できたが、面積比率まで分析できていないので、平成25年度の課題に加えて調査・分析を進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
調査対象とんっている病院は、幸い大変協力的なので、調査期間は、研究分担者と研究協力者に時間をあけてもらい、進めていく予定である。研究も「1.口腔内の付着物と各種肺炎起炎菌の検出状況の検討」と「2.口腔と咽頭の付着物の病理所見」、「3.口腔内付着物の除去による効果」などは、調査の機会に同時にデータ採取を進めて行く予定である。 肺炎起炎菌の検査として咽頭後壁より滅菌スワブで検体を採取し、MRSA、MSSA、緑膿菌、β溶連菌、肺炎球菌、Haemophilus influenzae、肺炎桿菌、Serratia marcescens、Moraxella catarrhalis 、Candidaの存在を調査し、口腔内付着物を有する者とそうでないもので各細菌の検出率を比較する。それによって口腔内付着物が肺炎起炎菌に関連するか否かについて解明していく。 2.口腔と咽頭の付着物の病理所見
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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