研究課題/領域番号 |
24593177
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研究機関 | 松本歯科大学 |
研究代表者 |
小笠原 正 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (10167314)
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研究分担者 |
柿木 保明 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (10420762)
長谷川 博雅 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (60164828)
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キーワード | 口腔ケア / 口腔乾燥 / 要介護高齢者 / 経管栄養 / 歯科 / 剥離上皮膜 |
研究概要 |
1.口腔内付着物の病理学的特徴の解明:口腔内にみられる剥離上皮膜の病理学的特徴について論文執筆中である。また咽頭にも同様な白黄色の付着物がみられることがあり、要介護高齢者13名について調査を実施し、咽頭の付着物、痰、鼻水、剥離上皮膜の病理学的所見を比較検討した。口腔の剥離上皮膜と咽頭の付着物は、構成組織は同じであったが、咽頭の付着物は、ムチンの占める割合が広範囲であった。咽頭の付着物と口腔の剥離上皮膜は、痰とは明らかに異なるものであることが示唆された。 2.口腔内付着物の形成要因:昨年度は、要介護高齢者の舌背部、歯面、頬粘膜における剥離上皮膜の形成要因について論文執筆し、老年歯科医学誌に投稿した。結果は、以下の通りである。剥離上皮膜の形成に最優先される要因は「摂食状況」であり、経口摂取者には、剥離上皮膜がみられなかった。2番目の要因は、各部位毎に口腔乾燥を示唆する舌背乾燥や開口などが関与していた。 3.口腔内の付着物と各種肺炎起炎菌の検出状況の検討:70名の要介護高齢者について肺炎起炎菌の検査として咽頭後壁より滅菌スワブで検体を採取し、調査した。剥離上皮膜の存在は、日和見感染菌に影響を与えていなかった。しかしながら、経管栄養の要介護高齢者は、緑膿菌が検出される傾向にあった。 4.口腔内付着物の除去による効果:剥離上皮膜の形成要因として口腔乾燥が挙げられたので、歯ブラシによる口腔ケアと口腔粘膜の保湿が剥離上皮膜の予防につながるか否かについて、現在31名について調査を実施している。10名の結果を分析したところ歯ブラシによる歯面清掃と口腔粘膜への保湿は、剥離上皮膜がみられなくなったものが有意に多かった。さらに口腔ケアは、咽頭の付着物を抑制する傾向がみられている。つまり口腔ケアは、咽頭の清潔につながる結果となっている。さらに症例を増やし、検討を加える予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
口腔内付着物の病理学的特徴の解明、口腔内付着物の形成要因、口腔内の付着物と各種肺炎起炎菌の検出状況の検討についての調査は、完了している。現在、口腔内付着物の除去による効果について調査を実施しているが、6月下旬で調査は、完了する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
調査対象となっている病院は、協力的であり、予定通り調査を完了できる見通しである。8月までに分析を終え、まとめていく予定である。いくつかの結果を論文執筆していかなければならないので、効率的に進めていく予定である。
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