研究課題/領域番号 |
24593182
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
埴岡 隆 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (00144501)
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研究分担者 |
晴佐久 悟 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (10330961)
山本 未陶 福岡歯科大学, 歯学部, その他 (90435123)
小島 美樹 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (20263303)
田中 景子 福岡大学, 医学部, 講師 (40341432)
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キーワード | 受動喫煙 / 齲蝕 / 乳歯 / たばこ対策 / 唾液 / 口腔細菌 / 歯の萌出 / エナメル質形成不全 |
研究概要 |
受動喫煙とう蝕の関係を明らかにするために倫理的に健康に有害な事象の介入研究ができないため、観察的な疫学研究論文のレビューを行った結果、因果関係を推定する根拠となる基準である関連の一致性、量-反応関係、特異性などの諸条件が一貫して明確であることが判明した。この系統的レビューの結果は2014年米国公衆衛生総監50周年記念報告書で採用され国際的な成果に貢献した。 さらに、本研究では生物学的説明性を明らかにするため、平成24年度には歯の形成不全の診査のためのデータの収集法と唾液腺傷害に伴う唾液分泌量減少の検査の方法をそれぞれ確立したが、平成25年度には、それぞれの装置・方法を用いての資料収集のプロトコールを確立しデータ収集の依頼を行った。 また、当初、診療施設での実施が困難と考えられ開始が遅れていた受動喫煙によるう蝕原生細菌への影響についての研究調査方法の開発については、受動喫煙によるう蝕の影響をラットを用いて調べた研究結果とう蝕原性細菌へのニコチン曝露の試験管内での研究結果の2つの結果を繋げて推論した結果、臼歯部の小窩裂溝でのう蝕原性細菌の定着への受動喫煙の影響に着目し、う蝕原性細菌の病原性の受動喫煙曝露影響の検出のための新たな方法を考案した。この手法によるデータ収集のプロトコールを確立しつつあり、すでに承認を得ている倫理審査委員会での研究計画の修正に繋げる。 自治体での調査については、平成24年度に静岡県東部3市での1.5歳児の歯科健診での資料収集の協力の説明に着手し、平成25年度には倫理審査委員会の疫学研究調査計画の承認を得て、受動喫煙と歯の萌出時期との関係について、試作した「受動喫煙と子どものう蝕の関係」の意識調査および健康調査票の質問紙を用いて、出生時体重を補正して分析できるよう調査を開始し、データの収集を継続して行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
歯科医院および自治体関係の両面での調査研究がすすんでおり、齲蝕原生細菌への影響を検出する研究手法にも糸口が見いだせた。また、本研究の推論となる根拠の疫学的な知見は、米国の公衆衛生総監報告書でも採用され、本研究の進捗の期待を高めていることから、本研究計画は、おおむね順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
歯科診療所での受動喫煙と口腔細菌との関係の研究プロトコールを追加したデータ収集ならびに自治体での歯の萌出時期と受動喫煙との関係の交絡因子を排除した関係性の分析を実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
自治体での調査研究における謝金について研究補助者への謝金については、平成25年度の後半での開始のために当該年度分の使用額が十分でなく、被験者への謝金は謝品として物品費に計上した。その他については、細菌検査の確立が平成25年度の後半であったため使用額が十分でなかった。 自治体での調査研究を開始しており研究補助の謝金および謝品としての物品費あるいはその他での使用がさらに必要となることが予測されるとともに、細菌検査の開始により、その他の費用の使用額が増えると見込まれる。
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