研究課題/領域番号 |
24593186
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
岩永 喜久子 群馬大学, 保健学研究科, 教授 (40346937)
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研究分担者 |
柳 奈津子 群馬大学, 保健学研究科, 講師 (00292615)
常盤 洋子 群馬大学, 保健学研究科, 教授 (10269334)
篠崎 博光 群馬大学, 保健学研究科, 教授 (30334139)
辻村 弘美 群馬大学, 保健学研究科, 講師 (70375541)
桐山 勝枝 群馬大学, 保健学研究科, 助教 (70412989)
小板橋 喜久代 群馬大学, その他部局等, 名誉教授 (80100600)
中村 美香 群馬大学, 保健学研究科, 助教 (10644560)
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キーワード | 看護専門外来 / 評価尺度 / 看護のイノベーション |
研究概要 |
<研究の目的> 本研究の目的は、看護職(看護師・助産師)による看護専門外来や院内助産等の運用がもたらす医療への効果を検証するために、医療機関における開設状況と実践内容を明らかにするとともに、評価尺度を開発し、そのアウトカムを評価することである。今後、ますます入院期間が短縮化され地域の在宅医療・看護へと移行する。外来は地域連携の拠点として位置付けられているものの、これまでのキュア中心の診療体制のみでは対応が困難となってきた。そこで、当該研究では、看護のイノベーションモデルとして、看護の卓越した実践力を活用した看護専門外来システムを体系化することによって、チーム医療の推進役として社会のニーズに応える新たな看護の役割拡大の方略を提示することである。 <具体的に明らかにする内容> 本研究は全期間において次の3段階で実施予定である。1.看護師と助産師による看護専門外来ならびに院内助産を開設している医療機関、開設内容、サービス内容、活動する人材、患者の利用状況、診療報酬、課題などを明らかにする。2.看護専門外来と院内助産のアウトカム指標となる評価測定尺度を開発する。3.評価測定尺度を使用した全国の看護専門外来、院内助産のアウトカムを明らかにする。1については、Webを用いて、「看護専門外来」「看護外来」「院内助産」をキーワードにして全国の看護職による外来を開設して専門的な看護サービスを実施している状況を把握した。また、沖縄県において助産師が活動する現場の院内助産施設の情報を収集するとともに示唆を得た。2については、本研究の基盤となっている研究者所属施設の看護職と看護教員による協働運営の看護専門外来を受診した利用者と実践者による評価を行った。この結果も踏まえて評価測定尺度を作成するべく検討中である。3については、遅れているため今後実施予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究の目的は、看護職による看護専門外来や院内助産の運用がもたらす医療への効果を検証するために、医療機関における開設状況と実践内容を明らかにするとともに、評価尺度を開発し、そのアウトカムを評価することである。そのために、次のように進めてきたが、全体的に予定より遅れている。 1.看護専門外来と院内助産を開設している機関の洗い出し 1)インターネットのホームページなどから看護専門外来や院内助産を開設している機関の情報を収集した。2)当初実施予定であった訪問看護ステーションについては、本年度より研究計画の変更を行ったため実施していない。2.国内の看護専門外来・院内助産への情報収集を行う。1)沖縄県の院内助産院への訪問による情報収集を行い示唆を得ることができた。しかし、他の看護専門外来や院内助産の施設訪問による情報収集はできなかった。3.評価測定尺度の検討 尺度内容検討のため、先ず、群馬大学医学部附属病院における母性看護外来や糖尿病療養相談など看護専門外来9分野の利用者70名と、外来担当者20名を対象とした質問紙調査とインタビューを行った。利用者による結果をまとめ別途学会に発表した(臨床-教育連携による看護専門外来の利用者による評価:第33回日本看護科学学会学術集会 大阪市)。しかしながら、指標を基にした調査項目の作成までには至らず、現段階では検討中である。 従って、以上の段階までが実施した概要であり、評価表の開発や調査実施までに至らなかった。研究が遅れた理由は、研究に充てる予定であった時間の確保困難と、教育等の役割時間の調整ができなかった点にある。具体的には、後任人員の欠員とともに、学部生、博士前期・後期課程学生の教育や、社会貢献としての院外研修担当などであった。
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今後の研究の推進方策 |
今後、遅れた事項の研究を取り戻し最終年度に向けて実施する予定である。平成25年度の研究計画で遅れた国内施設訪問による情報収集ならびに、調査票を確定させて全国の看護専門外来や院内助産開設施設を調査する。そのため、実施できるように再度計画を検討して進めていく予定である。 (研究計画を進めていくための課題と対策) 研究計画をすすめられなかった理由は多忙による時間の配分であった。この課題に対する対策として、最終年度である次年度に多くの調査を実施するため、調査のための事務的な課題はアルバイトなどの活用により効果的に進める。データの収集や分析に関しては分担して実施できる体制を再検討する。なお、前年度に実施内容を変更して、訪問看護ステーションについては調査しないことを報告した。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該助成額が生じた大きな理由は、本研究計画が全体的に遅れたことが挙げられる。遅れた理由は、後任人員の欠員状況が重なり、学部生、博士前期・後期課程学生の教育等により、研究に関わるエフォート確保ができなかったことによる。当該事項が発生した具体的な状況は、研究が遅れたことにより予定していた費目の支出がなかったためである。具体的には、①国内の看護専門外来を開設している施設訪問による実施概要に関する情報収集ができなかったこと、②全国の看護専門外来開設施設や院内助産の開設施設対象の調査票郵送代金、ならびに返信代金が発生しなかったこと、③分析のためのソフトウエアの購入代金などが残ったためである。 次年度はこの課題を解決し、遅れた実施概要を最終年度として実施できるよう、再度計画を修正して進めていく予定である。 具体的な使用計画は、次の実施計画に対して研究費を充てる予定である。 1.看護職による看護専門外来ならびに院内助産開設施設のアウトカム評価のための調査票を精選して完成させる。2.完成させた調査票による全国の看護専門外来、院内助産のアウトカム評価のための調査を行う。調査の概要は、これまでに洗い出した全国の看護専門外来開設施設と、院内助産開設施設を対象に、施設責任者へ依頼と研究概要の説明をして同意が得られた施設で実施する。具体的な調査対象は、上記施設の看護専門外来で看護サービスを受けている患者(利用者)1,000名程度(1施設5名を予定とする)と、サービス提供者の看護師1,000名程度(専門看護師や認定看護師を含む)、院内助産における実施者として助産師300名程度を予定している。3.看護専門外来開設施設を訪問して実施状況の情報収集を行う。4.データ分析のためのソフトウエア(SPSS)を購入する。
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