研究課題
本研究の目的は、看護職による看護専門外来の運用がもたらす医療への効果を検証するために、医療機関における看護専門外来の開設状況と実践内容を明らかにするとともに、評価尺度を開発し、その実践を評価することである。今後、ますます入院期間が短縮化され在宅医療の推進により、医療の場が施設から在宅へ移行していく。そのため、治療中心の外来看護師の支援だけでは今日の医療に対応できなくなった。一方、わが国の看護師の中には、大学院を修了しがんや糖尿病などの特定の分野の専門的能力が高い専門看護師や、訪問看護や認知症看護のような専門領域の研修を受けた認定看護師が存在する。両者とも日本看護協会から認定され、それぞれの分野における独自の専門的能力を発揮することができる。我々は、診療外来と連携した看護モデルによる患者・家族の支援システムである看護専門外来を開発してきた。この外来は、研究者らが一つの病院をモデルとして、システム化したものであり、学術集会などを通して全国に発信してきた。これは、従来の診療体系の中の外来の看護システムを改革する変革モデル(イノベーションモデル)であり、新たな看護の役割拡大の方略として、提示することができた。本モデルは、看護の卓越した専門性を集積させる看護職による看護の専門外来システムであり、チーム医療発展への寄与と社会の要請に応え得ることに意義がある。最終年度には、全国の看護専門外来を受診している患者、訪問看護ステーションから在宅看護を受けている利用者とサービスを提供している看護師を対象に、開発中の看護サービス評価尺度を用いた調査を実施した。看護専門外来の患者の評価平均得点は133.8±13.9点(165点満点)、在宅看護利用者の平均得点は142.0±13.0点(175点満点)であった。今後看護専門外来システムを体系化しさらに検証していく必要がある。
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