研究課題/領域番号 |
24593187
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
和住 淑子 千葉大学, 看護学研究科, 教授 (80282458)
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研究分担者 |
山本 利江 千葉大学, 看護学研究科, 教授 (70160926)
斉藤 しのぶ 千葉大学, 看護学研究科, 准教授 (90292680)
錢 淑君 千葉大学, 看護学研究科, 准教授 (50438321)
河部 房子 千葉大学, 看護学研究科, 准教授 (00251843)
椿 祥子 千葉大学, 看護学研究科, 助教 (10604861)
川上 裕子 千葉大学, 看護学研究科, 助教 (20612196)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | F. Nightingale / 看護 / 看護政策 / 類比 / 研究方法論 |
研究概要 |
本研究の目的は、F. Nightingaleの業績を現代に活かすべく、その要となる‘類比’の方法論を明らかにすることである。 平成24年度は、先行研究において特定したF. Nightingaleの生涯にわたる12の業績(①看護管理者として経営破綻に瀕したハーレイ街病院の再建に手腕を発揮、②看護団を率いてスクタリへ赴任、③英国陸軍の衛生改革、④病院統計の標準化と聖トマス病院への支援、⑤ナイチンゲール看護婦訓練学校の開校、⑥ナイチンゲール助産婦訓練学校の開校、⑦大英帝国支配下のインドの衛生改革、⑧救貧院の看護改革、⑨ナイチンゲール助産婦訓練学校閉鎖、出産と死亡率および産院の実態調査、⑩ナイチンゲール看護婦訓練学校の再建、⑪地域看護運動、⑫看護婦登録制度に関する論争)について、関連資料の収集を行うとともに、ナイチンゲール著作集16巻を刊行したDr. Lynn McDonald (university professor emerita) Dept. of Sociology and Anthropology, University of Guelph を訪問し、本研究の進め方について専門的見地からの助言を受けた。特に、関連資料については、これまで原文を入手できていなかった『英国陸軍の保健、能率、病院管理に及ぼす問題に関する覚書』(初版,1858年,ロンドン)を購入することができた。 これらをもとに、主に、⑥ナイチンゲール助産婦訓練学校の開校、⑦大英帝国支配下のインドの衛生改革、⑩ナイチンゲール看護婦訓練学校の再建、⑫看護婦登録制度に関する論争の4つの業績との、‘類比’の可能性を有する今日の日本社会の抱える課題を特定し、両者の背景について、歴史的・制度的・文化的見地から、その特徴を明らかにした。これらの成果を、ナイチンゲール研究学会第33回研究懇談会において発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は、 (1)先行研究において特定したF. Nightingaleの生涯にわたる12の業績との‘類比’の可能性を有する今日の日本社会の抱える課題を特定する。 (2)両者の背景について、歴史的・制度的・文化的見地から、その特徴を明らかにする。 の2点を重点的に行う計画であった。 これに対し、実際、『英国陸軍の保健、能率、病院管理に及ぼす問題に関する覚書』(初版,1858年,ロンドン)を始めとする貴重な関連資料を入手することができ、これらを踏まえて、「ナイチンゲール助産婦訓練学校の開校」、「大英帝国支配下のインドの衛生改革」、「ナイチンゲール看護婦訓練学校の再建」、「看護婦登録制度に関する論争」の4つの業績との、‘類比’の可能性を有する今日の日本社会の抱える課題を特定し、両者の背景について、歴史的・制度的・文化的見地から、その特徴を明らかにし、その成果を、ナイチンゲール研究学会第33回研究懇談会において発表することができた。 よって、おおむね計画通り順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、残る①看護管理者として経営破綻に瀕したハーレイ街病院の再建に手腕を発揮、②看護団を率いてスクタリへ赴任、③英国陸軍の衛生改革、④病院統計の標準化と聖トマス病院への支援、⑥ナイチンゲール助産婦訓練学校の開校、⑧救貧院の看護改革、⑨ナイチンゲール助産婦訓練学校閉鎖、出産と死亡率および産院の実態調査、⑪地域看護運動、の8つの業績について、‘類比’の可能性を有する今日の日本社会の抱える課題を特定し、両者の背景について、歴史的・制度的・文化的見地から、その特徴を明らかにし、その成果を公表する計画である。 さらに、これらの結果より、当時の状況と現在目の前で起こっている状況との間にどのような本質的な類似点があるのかを明らかにし、F. Nightingale の業績からの学びを当該課題に活かす上での条件を解明し、‘類比’の方法論を明らかにする計画である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に未使用額が生じた状況は、当初、購入を予定していたクリミア戦争とナイチンゲール関係議会文書全11巻が、海外の版元の都合で入手困難となり、急遽、『英国陸軍の保健、能率、病院管理に及ぼす問題に関する覚書』及びその他のナイチンゲール関連文献の購入に切り替えたため、差額が生じたことによる。 平成25年度は、①看護管理者として経営破綻に瀕したハーレイ街病院の再建に手腕を発揮、②看護団を率いてスクタリへ赴任、③英国陸軍の衛生改革、④病院統計の標準化と聖トマス病院への支援、⑥ナイチンゲール助産婦訓練学校の開校、⑧救貧院の看護改革、⑨ナイチンゲール助産婦訓練学校閉鎖、出産と死亡率および産院の実態調査、⑪地域看護運動、の8つの業績について、‘類比’の可能性を有する今日の日本社会の抱える課題を特定し、両者の背景について、歴史的・制度的・文化的見地から、その特徴を明らかにし、その成果を公表する計画である。平成24年度の未使用額と併せて、関連資料の収集および整理に物品費を使用し、また、成果の発表については、国内外の学会で行う計画であり、これに伴う旅費を使用する予定である。 さらに、当時の状況と現在目の前で起こっている状況との間にどのような本質的な類似点があるのかを明らかにし、F. Nightingale の業績からの学びを当該課題に活かす上での条件を解明し、‘類比’の方法論を明らかにする計画である。この作業に伴い、主に英文資料の解析に研究補助者を雇用する計画であり、そのための人件費を使用する予定である。
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