研究課題/領域番号 |
24593191
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研究機関 | 千葉科学大学 |
研究代表者 |
齋藤 君枝 千葉科学大学, 看護学部, 教授 (80274059)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 災害 / 看護 / 睡眠 / 応急仮設住宅 |
研究実績の概要 |
本年度は、福島県内の応急仮設住宅地域の定期訪問を協働研究者らにより継続した。3年目の仮設住宅生活を送る避難者を対象に、健康相談や交流、健康調査を実施し、健康と生活状態を把握した。 継続参加者17名(男性3名、女性14名)を対象とした分析では、医療機関受診15名、平均睡眠時間6時間で、冬季に筋肉率が減少し、握力の低下が見られていた。筋肉率の減少に伴い、体脂肪率が増加していた。 また、健康相談参加者48名の生活変化では、応急仮設住宅居住者は半年までに食生活や活動量、睡眠状態、近隣との交流の安定が見られるが、長期化すると身体の調子、体力、活動量、睡眠状態の悪化が生じていた。しかし、近隣との交流は良くなっていた。 男性2名の睡眠状態の聞き取り調査では、共通して体調は良好で、毎日散歩を実施していた。早寝早起きが習慣となっており、PSQI下位尺度における睡眠困難の自覚は全くなく、K6も0点であった。生活環境の狭さや冬季の寒さに不便を感じているものの、睡眠への影響はなかった。応急仮設住宅生活の長期化に伴い、避難者の生活様式は確立されているが、体力と健康維持には日々の自己管理の継続が求められる。冬季の活動減少が健康障害のきっかけにならないよう、自身の取り組みを客観評価できる場や医療福祉専門職との定期的な交流による心身の支援が重要である。今後は再建者の増加により、応急仮設住宅居住者の減少が生じるが、応急仮設住宅内の交流関係の変化が健康に影響を及ぼす可能性があり、医療福祉に関連する支援事業の継続が望まれる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
26年度に避難期間が延長されている応急仮設住宅の状況把握を行いながら、睡眠評価を行う予定であったが、現地との調整が困難な状況が生じたため、計画の遂行が不十分となった。協働研究者らにより調査継続は可能であったが、蓄積データの分析が進展せず、知見を公表するまでに至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
3年間の調査データを多角的に分析、評価し、雑誌論文として投稿する。また、災害看護の研修会等を通して、調査結果の公表を行い、専門職活動に還元する。
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次年度使用額が生じた理由 |
26年度、異動に伴い現地との調整が困難な状況が生じたため、調査および評価が充分に遂行できず、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は最終年度となるため、これまでのデータを再評価し、先行研究の論文検討を行いながら、投稿を目指す。次年度使用額はそのための諸費用や専門職の助言に充てる。また、災害を経験した地域の看護職者の研修会等で調査結果を公表するため、資料作成に伴う経費が発生する。
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