研究課題/領域番号 |
24593204
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
佐藤 公美子 札幌医科大学, 保健医療学部, 准教授 (30324213)
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研究分担者 |
城丸 瑞恵 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (90300053)
奥宮 暁子 東京工科大学, 医療保健学部, 教授 (20152431)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 基礎看護学 / 看護史 / 歴史的研究 / アメリカ近代看護 / 看護教育 |
研究概要 |
研究課題は,アメリカ近代看護の創始期である19世紀後半において看護養成機関を卒業して資格を有する看護婦がどのような活動を展開したのかを実証することにある.本研究は,近代,看護養成機関を修了し免許を有した看護婦は看護の専門性をどのような道程で確立していったのかを探究している. 今年度は、既に蒐集していた歴史的一次史料や二次資料のリストを作成し,分析・翻訳作業を行いながら整理・分析した.特に今年度,注目して分析した一次史料は次の二種類である.①“The United States Bureau of Education :Statistics of training schools for nurses for 1868-1898 ; from replies to inquiries by the United States Bureau of Education”と②“ Proceeding of the National Conference of Charities and Correction”である.これら一次史料に関しては National Archives and Records Administrationや日本国立国会図書館,筑波大学附属図書館での使用許可の手続きを経て行った. 上記の史料から,近代アメリカでは,看護養成機関における看護教育の開始は1870年代であり,北大西洋地区(North Atlantic)が最も早く開始し,次いで北中部地区(North Central),南大西洋地区(South Atlantic)へと波及していったことを明らかにした.また,看護活動の一端であるニューヨーク州での訪問看護婦(Visiting Nurse)の看護の実績(内容)を取り上げ,アメリカにおける訪問看護の形成を考察した.本年度の成果を学会及び論文として発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究課題にあった歴史的史料の収集,分析を計画的に遂行している.今年度の成果を国際学会及び国内学会で発表し,さらに論文発表も行った.研究成果を示しているので,おおむね順調と判断できる.しかしながら,研究分担者とのディスカッションの不足,資料整理・翻訳作業などのマンパワー不足は明らかであり,この点を改善しなければいけないと考えている.また、資料蒐集を適宜行わなければ新たな知見を得られないので,渡米あるいは渡英の機会を持ち,さらなる資料の収集,翻訳作業,研究アドバイザーからの示唆を得るなどの努力が必要である.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,主に19世紀後半に焦点をあてて北大西洋地区・ニューヨーク州での訪問看護婦の活動を取り上げ,アメリカにおける訪問看護の形成過程を考察してきた.本課題を纏めるにあたって,近代における訪問看護婦の看護活動はアメリカ全土や各州の歴史的な背景,経済的な発展状況,女性の地位や立場などを深く理解したうえで洞察を深めていく必要性を感じている.その当時の地域住民の生活状態はどうなのか,どのような感染症が流行していたのか,伝染病の罹患数や死亡数など州の医療事情を併せて捉えた上で,訪問看護を考察していくことが重要である.これらをさらなる課題に加えながら,北大西洋地区の他の州の設立経緯や看護活動の詳細を明らかにしていく. また,看護養成機関の設立がアメリカの北大西洋地区から南大西洋地区や北部中央地区へ拡がっていった事実を捉えると,それらの地区,州における訪問看護の動向も把握していかなければアメリカ全州の様子は実証できない.今後も継続して,その時代背景とアメリカ全州の教育分野の動きを鑑みながら,看護婦の活動の詳細を探究していく. 来年度,さらに敏速に研究を遂行するために,史料の収集・整理や翻訳作業にマンパワーを活用していきたいと考えている.さらに,研究成果は今年度同様の国内外の学会,学会誌に発表する予定で準備する.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は,研究代表者と研究分担者がこれまで収集した資料の分析にあたり,新たな文献リサーチのための国外旅費を使用せずに至ったため,残額が生じた. 平成25年度は,引き続き,研究課題のKeyとなるような論文の分析と翻訳作業を進める(翻訳料の計上).さらに,資料の信憑性,有用性を確認するため渡米・渡英し,歴史学専門の研究アドバイザーの示唆を得ることを計画する(国外旅費計上).それらを基に研究を進め,国際学会などにおいての発表を予定する(学会参加費,国内外旅費の計上). また,新たな資料の検索・収集と翻訳作業を進め,研究分担者との会議を頻繁に計画する.研究代表者・分担者の他に資料の整理を依頼していく(謝金計上).
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