研究課題
基盤研究(C)
硬結の実態調査として,ある病院の協力を得て定期的に外来で筋肉内注射を受けている患者のうち注射部位に正常皮下とは異なる所見があると看護師が自覚した患者を対象とし,注射部位の縦断的な観察を行っている.患者の定期外来受診日にあわせ研究者が調査に行き,注射前に前回注射部位の肉眼観察と患者の主観を調査,そして,看護師による筋肉内注射場面の観察,注射後の肉眼観察と患者の主観を調査した.本調査は,同一の患者の注射部位の縦断的な観察であり,他に例がなく,硬結の経過を示す貴重な資料となると考える.ただし,経過を客観的に評価する方法について,現在よりも適切な方法がないか今後も検討を重ねる必要がある.また,臨床で頻用される書籍,治療薬マニュアルに掲載されている薬剤のうち筋肉内注射が適用である薬剤をすべて抽出した.これらのうち,硬結が問題となる特徴的な薬剤があるのかや,それらの薬剤を使用したときに看護師が経験する硬結と考えられる状態の詳細を把握する調査について準備を進めている.筋肉内注射用薬剤がどの位あるのか,その中で硬結を形成しやすい薬剤とその特徴が明らかになれば,硬結に注意し実施する臨床看護師の負担の軽減や実践しやすさにつながると考える.さらに,特定された薬剤を用い,看護師が経験している硬結の所見をもとに基礎実験行うことで,最終的な硬結の実態解明と看護ケアの確立につなげることができると考える.
2: おおむね順調に進展している
現在までの研究の進捗状況は,概ね予定通りである.硬結の実態調査は,年度が変わり病院の主協力者が変更となったが,研究目的・趣旨を改めて説明した結果,引き続き調査を実施することについて了承を得られている.硬結を形成しやすい薬剤や,看護師が経験している硬結の所見についての調査についても,調査用紙を作成次第調査できる状態である.また,これまでの研究遂行過程において,ある程度臨床の状況を把握できているため,看護師を対象とした調査を行いつつ,基礎的な実験についても同時進行で行うことが可能である.
硬結の実態調査については,今後も継続的に経過を追っていく予定である.それにより,硬結への影響要因について示唆が得られたり,看護ケアのヒントにつながる可能性があると考える.本調査に,旅費,協力施設への謝礼,調査に必要な消耗品が必要である.看護師を対象とした調査は今年度早々に実施し,年度内の分析,まとめを目指す.本調査に郵送費,調査用紙等の消耗品が必要である.基礎的な実験は,看護師への調査と同時進行で進めるとともに,また看護師への調査結果がまとまり次第,それらをもとにした実験プロトコールで行っていく.本実験に,実験動物,飼料,筋肉内注射用薬剤,組織標本作製料,消耗品が必要である.
硬結の実態調査に,旅費6,000円/人×2人×10回=120,000円,謝礼3,000円×10回=30,000円,消耗品10,000円の計160,000円を予定する.看護師を対象とした調査に,郵送費80円×200枚=16,000円,消耗品10,000円の計26,000円を予定する.基礎実験に,実験動物144,000円,飼料50,000円,筋肉内注射用薬剤100,000円,組織標本作製100,000円,消耗品20,000円,の計414,000円を予定する.
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