研究課題/領域番号 |
24593208
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岩手県立大学 |
研究代表者 |
武田 利明 岩手県立大学, 看護学部, 教授 (40305248)
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研究分担者 |
平野 昭彦 岩手県立大学, 看護学部, 准教授 (30305255)
三浦 奈都子(小山奈都子) 岩手県立大学, 看護学部, 助教 (40347191)
及川 正広 岩手県立大学, 看護学部, 助教 (60537009)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 抗がん剤漏れ / 看護技術 / 実証研究 / 病理学的研究 |
研究概要 |
実験動物を用いた研究では、『抗がん剤漏出による皮膚傷害に対するステロイド局所注射の作用に関する基礎的研究』を行った。この研究は、抗がん剤が漏れときの一般的な処置として、ステロイドの局所注射が日常的に行われているが、確かなエビデンスが不足していることから基礎研究を行った。その結果、起壊死性抗がん剤であるナベルビンを使用し、実験的な漏れの病変についてステロイドの局所投与群と対象病変(ステロイドなし)の群について比較検討した。その結果、ある程度の治療効果は期待できることを示唆する知見が得られたが、引き続き検討する必要があると考えられた。また、抗がん剤は血管内皮細胞への直接傷害を有することを示す知見がすでに得られていることから、その予防方法について検討するための評価系を確立するための基礎研究を行った。培養細胞を用いた研究では、①ビノレルビン、パクリタキセル及びドセタキセルの臨床用薬液とその10、100倍希釈溶液を経時的に48時間まで曝露し細胞生存率を測定した。②ビノレルビン、パクリタキセル及びドセタキセルの臨床用薬液とその2、5、10倍希釈溶液を0、8、24、48時間曝露しアポトーシス誘発の程度を検出した。その結果、①臨床用薬液の抗がん剤曝露では、曝露初期から細胞生存率が著しく低下した。一方10及び100倍希釈溶液曝露での細胞生存率は同程度であったが、タキサン系抗がん剤に比べてビノレルビンの細胞傷害性が強かった。②いずれの抗がん剤においても曝露48時間後にアポトーシスが増加した。以上の結果より、抗がん剤の遅延型細胞傷害性にはアポトーシス誘導の影響が考えられた。また、抗がん剤の細胞傷害性に添加剤も寄与していることが確認された。微小管阻害薬の血管外漏出に対して、温罨法より冷罨法の方が細胞傷害性を抑制する可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験動物を用いた研究では、抗がん剤が漏れた時に治療薬として使用されているステロイドの作用に関する実験データが得られている。また、培養細胞を用いた研究においても抗がん剤が漏れたときに認められる遅延型細胞障害のメカニズムとしてアポトーシスであることを示す実験データが得られた。
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今後の研究の推進方策 |
実験動物を用いた研究では、抗がん剤の傷害の程度を定量化できる評価系の確立を試みる。当初考えていたウサギの耳介についても検討するが、動物数を十分に確保できるマウスやラットについての検討を中心に進める。培養細胞を用いた研究では、実験動物で得られた知見と連動させた基礎研究を行う。培養細胞を用いた研究では、実験動物の研究では得ることが困難なメカニズムの解明について研究を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験的な研究が主な内容なので、必要となる実験動物(ラット・マウス・ウサギ)の購入費や、各種抗がん剤の費用を約7割とする予定である。残りの3割は、実績報告(学会発表)の交通費や調査費とする予定である。
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