研究課題/領域番号 |
24593209
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研究機関 | 岩手県立大学 |
研究代表者 |
遠藤 良仁 岩手県立大学, 看護学部, 講師 (00438087)
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研究分担者 |
伊藤 收 岩手県立大学, 看護学部, 教授 (40320246)
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キーワード | 研究成果の活用 / 合意形成 / 人材育成 |
研究概要 |
二年目にあたる今年度は、看護組織における合意形成の成立状況と研究成果活用との関連性について、全国調査の前段階として対象を東北地方A県全域の病院に拡大し自記式質問紙調査を行った。施設の看護管理者を対象に、組織的な合意形成の実態、および、前年度調査で明らかになった施設内における看護職への研究能力向上の取り組みと関連する教育内容の実態を質問するとともに研究成果活用の阻害要因の認識との関連性について統計学的に検討した。その結果、合意形成の実態については、当該の課題の適応範囲に応じて権限を与えられた看護師長レベルもしくは委員会レベルで内容が決定され、「手順書」等で明文化し勉強会およびカンファレンス等で周知を図るといった多くに共通する決定と周知の方法をとる傾向が見られ、一部、医師や他職種からも意見をもらう、倫理面への配慮が必要な場合は施設外のメンバーを加えて検討するといった工夫を行っている施設があることが明らかになった。施設内教育と研究成果活用の阻害要因との関連では、研究能力向上の研修を多く開催している施設ほどケア方法の変更に関する決定権の自覚が無いと感じる看護師が少なく、責任者も研究成果の活用を認める傾向があること、そして、看護師へのモチベーション向上を目的とした研修を多く開催している傾向などが明らかになった。また、患者情報を分析する専門の担当者を配置している施設では研究成果を活用するための設備や環境の不十分さの認識が低いことから、情報を扱う看護もしくは専門職の存在が研究成果の臨床活用に有利に働くことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、平成25年度は先駆的かつ効果的に合意形成している全国の看護組織の実践例を調査する予定であったが、先駆的かつ効果的な実践の定義に対する示唆を得るため先行研究を検討した結果、看護師へのモチベーション向上といった人材育成の観点も影響要因として加える必要があることがわかった。そのため、全国調査のプレテストとして再度調査方法の妥当性を確認する必要性が生じたため今年度は1県内の施設を対象とした調査を行った。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の調査で影響要因として示唆された人材育成の研修実施状況や患者情報(カルテ)の分析担当者の配置の有無ならびに必要性の認識を調査項目に加えた全国調査を進める。また、合意形成については、トップダウンの決定と普及の方法については例が多く収集されたので、次の調査では、現場の看護師からの発議といったボトムアップの例も収集されるように調査項目に反映させたい。そこで、平成26年度は、平成25年度の調査結果を詳細に分析するとともに全国の約1000病院の看護管理者を対象に郵送のアンケート調査を実施する。組織的な合意形成のあり方としてトップダウンおよびボトムアップの革新方法の実態と人材(担当者)の配置状況、院内教育の実態と研究成果の臨床活用状況ならびに阻害要因との関連性を検証していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究の概念化を見直すための情報収集、関連要因を検証するための全国調査と分析、発表を行うための費用が必要である。 関連学会への参加費、資料購入費、ならびに研修費の他、全国調査にかかる通信費、謝礼、データ整理、分析にかかる人件費ならびに分析機器の充実、発表のための学会参加費として使用する。
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