平成24年度は心拍変動を解析するためのシステムを構築し、解析方法の妥当性を検証した。①MRI検査時の心拍変動を有線あるいは無線でメモリ心電計(ジー・エム・エス:LRR-03)に取り込むための生体信号計測システムを構築し検証した。②データを自動的に解析を行うために、時系列データ解析プログラム(ジー・エム・エス:MemCalc/Tarawa)とそれらを動作させるパーソナルコンピュータによる解析システムを構築した。③上記①及び②で作成した測定システムと解析システムを用いて、被験者に対して心拍変動の低周波成分(LF)および高周波成分HF)、さらにLFとHFの比率を求めた。また、1/fゆらぎやアトラク等の新しい解析方法を導入して、その有効性を検証した。研究上の問題点として、MRI検査に伴うRFパルスは生体信号に影響を及ぼすため、心拍変動の収集データは大きなノイズを伴い、メモリー心電計に取り込んだR波を正しく認識できず、解析システムが正しく動作しなかった。そこで、生体信号測定システムを指尖脈波収集ツール(シー・シー・アイ:BACS Advance)に変更し、心拍変動を捉えた。 平成25、26年度は、前年度の解析評価結果を確認するとともに必要に応じて見直し作業を行い、アンケート調査および主観・認知系指標である状態-特性不安尺度STAIを利用してストレスに伴う不安状態を検討した。①前年度得られた成果を基に、本研究課題の目標であるMRI 検査時のストレスの解明の中核となる部分である。アンケート調査および主観・認知系指標であるSTAI の結果と生理的指標である心拍変動や唾液に含まれるアミラーゼの測定結果より相関関係および因果関係を調べることによりストレスを客観的にとらえた。②上記①で得られた結果をもとに、任意記述形式のアンケート調査からストレスの状況を明らかにし有効な予防策を検討した。
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