研究課題/領域番号 |
24593213
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 群馬県立県民健康科学大学 |
研究代表者 |
小倉 敏裕 群馬県立県民健康科学大学, 診療放射線学部, 教授 (40369369)
|
研究分担者 |
土井 一浩 群馬県立県民健康科学大学, 看護学部, 講師 (70381308)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 看護教育 |
研究概要 |
肺炎の死亡原因はわが国の第4位であり,肺炎で死亡する患者の90%以上は65歳以上の高齢者である。誤嚥性の肺炎は嚥下性肺炎ともよばれ、誤嚥を契機として発生する。 この誤嚥に対する適切な対応を迅速に実施できるか否かは患者の生死に関わる。看護学生に『看護基本技術』の学習項目の呼吸・循環を整える技術として、誤嚥の発症メカニズムを正確に理解、習熟させる必要がある。本研究ではComputed tomography(以下CTとする)やMagnetic Resonance Imaging(以下MRIとする)データを用い、口腔、咽頭、喉頭内部を仮想内視鏡画像によりリアルタイムに観察できるシステムを以下の手順で作成した。同時に、舌、周辺筋肉の解剖学的位置、作用が明らかになるよう描出し、安全かつ非侵襲的に看護学生が実践に近い状態で、嚥下機能のメカニズムを習得できるようにした。まずはじめに、使用する頭部、頚部のCT, MRI三次元画像データベースを作成するために、一般公開されたCT, MRI画像データをインターネットを通じて収集した。収集したCT,MRIデータから気管を抽出し,さらに周辺血管や骨と合成画像構築した。そして,学生が気管と各臓器の位置関係を理解しやすいように表示できるようにした。咽頭筋などの各種筋肉の描出と喉頭蓋周辺臓器の抽出を行い, 舌根周辺臓器の解剖理解が容易となるよう合成画像の構築を行った。口腔、咽頭、喉頭内部を容易に観察する仮想内視鏡画像の作成を行った.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一般公開されたCT, MRI画像データを用い、使用する頭部、頚部のCT, MRI三次元画像データベースが作成できた。このデータベースを使用することによって看護学生用のための口腔、咽頭、喉頭内部を仮想内視鏡画像によりリアルタイムに観察できるシステムを作成することができる。収集したCT,MRIデータから頚部の空気のCTデータを抽出することにより気管や口腔、鼻腔を抽出し三次元構築を行うことができた。さらに、空気のCT値を有するところを透明表示することにより、気管や口腔、鼻腔内部を透明化し、視点と視野を管腔内に位置させ、管腔内を観察できる仮想内視鏡画像の作成を行った。一方、頚部周辺の筋肉をCT値の閾値を設定することにより抽出することができた。CT画像やMRI画像にはピクセルごとにデジタル値を保有している、そのデジタル値に対応する透明度と色を各ピクセルごとに割り当てることによって画像を構築した。 そして、空気のCT値を抽出することによって得た気管や鼻腔、口腔と合成画像構築した。さらに、骨のCT値を選択することによって得られた頚椎の三次元画像と合成することにより、各管腔との位置が理解しやすいように構築できた。このように,学生が気管と各臓器の位置関係を理解しやすいように表示でき、舌根周辺臓器の解剖理解も容易となるよう合成画像の構築を行うことができた。
|
今後の研究の推進方策 |
仮想内視鏡画像観察位置を頚部三次元画像上で表示できるようにする。そして、三次元画像観察ソフトウエアをPCにインストールし、仮想内視鏡画像および各種三次元画像を表示できるようにする。さらに、仮想内視鏡画像を観察しながら進入位置および視野の確認できるようなシステムにアレンジする。看護学生を対象に仮想内視鏡画像を用い口腔, 咽頭, 喉頭内の観察実習を実施する。仮想内視鏡画像データおよび、三次元画像データは大量のCT,MRI横断画像を用いて使用しているため大容量の画像データとなり、通常のPCでは動作しない。三次元画像を解析、表示に耐えうる性能を有するPCを導入し、ソフトウエアをインストールし、仮想内視鏡画像および頸部三次元画像、CT,MRI各断面画像が観察できるようアレンジする。また、三次元構築画像を利用した口腔、咽頭、喉頭観察システムの教育用ビデオを作製する。気管内吸引トレーニングシステムの教育用ビデオ作成のためのビデオ編集用PCを作成する。そのため、気管内吸引トレーニングシステムの教育用ビデオ作成のためのビデオカメラや口腔内を観察できる簡易型内視鏡カメラも導入する。最新の三次元画像構築技術の習得や見学のため、シカゴで開催される北米放射線学会教育部門やウイーンで開催されるヨーロッパ放射線学会に出席する予定である。また、医用画像情報学会や日本放射線技術学会へも出席する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
口腔、咽頭、喉頭観察システムの教育用ビデオを作製するためのPCの作成および三次元画像を解析、表示に耐えうる性能を有するPCの作成をおこなう。そして、教育用ビデオを作製ソフトウエアの導入および口腔内を観察できる簡易型内視鏡カメラの導入を行い、実際の口腔と仮想内視鏡画像の対比を行いながら教育的ビデオを作成する。 一方、ヨーロッパ放射線学会(ウイーン),北米放射線学会(シカゴ),医用画像情報学会(大阪),日本放射線技術学会(福岡)の出張を予定している。
|