研究課題/領域番号 |
24593223
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研究機関 | 岐阜県立看護大学 |
研究代表者 |
黒江 ゆり子 岐阜県立看護大学, 看護学部, 教授 (40295712)
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研究分担者 |
寳田 穂 大阪市立大学, 看護学研究科, 教授 (00321133)
藤澤 まこと 岐阜県立看護大学, 看護学部, 教授 (70336634)
田中 結華 摂南大学, 看護学部, 教授 (80236645)
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キーワード | 言いづらさ / 慢性疾患 / クロニックイルネス / アーキタイプ / ライフストーリー / 概念分析 / 看護理論構築 / 生活者 |
研究概要 |
慢性の病いにおける他者への「言いづらさ」と看護のあり方を基盤とした看護理論の構築を目指して研究をすすめた。第一に、看護理論におけるクライアント-ナース領域の考え方について、H.S.Kimによる「看護学における理論思考の本質」の抄読会を継続し、クライアント-ナース領域および看護の実践領域について考察を深めた。同時に、P.L.チン&M.K.クレイマーによる「看護学の総合的な知の構築に向けて」およびL.O.ウオカー&K.C.ア-バントによる「看護における理論構築の方法」を含めて思索を続けた。 第二に、慢性の病いにおける「言いづらさ」の概念を論述するための準備として、上記「看護における理論構築の方法」の訳者である中木高夫先生(天理医療大学教授)を招聘し、看護理論構築における概念統合・概念導出・概念分析についてのセミナーを開催した。概念統合・概念導出・概念分析についての理解を踏まえ、「言いづらさ」の概念をどのように論述するかについてディスカッションを行った。資料として「言いづらさ」についてのライフストーリーから導いた”「言いづらさ」の立ち現われ”を論述した文書を用いた。立ち現れている「言いづらさ」について、その先行要件および帰結を提示することの可能性が見出された。 第三に、看護理論におけるクライアント-ナース領域および看護の実践領域の理解を踏まえ、「言いづらさ」が存在する中でケアを提供している看護職者が、慢性の病いにおける他者への「言いづらさ」をどのように感じ・考えているかの意見交流を目的に、”慢性の病いにおける言いづらさの「概念」に関する看護実践者会議”を開催した。資料として、第二の会議で見出された「言いづらさ」についての立ち現われ、先行要件および帰結を論述した文書を用いた。次年度の看護職によるグループ討議に発展的に繋げる計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度研究実施計画は、看護理論の理論的構想の構築のプロセスを看護理論構築に関する有識者を含む研究者および実践家とのディスカッションを実施しながら推進すること、およびライフストーリーインタビューから導かれた「言いづらさ」に対する看護職者の対応を踏まえ、看護職者が病いのある生活における人々の言いづらさをどのようにとらえ、どのような看護ケアを提供しているかを洞察することで構成している。 まず、看護理論の理論的構想の構築プロセスにおいては、研究実績の概要において示した通り、看護理論構築に関する書籍の抄読会を継続的に実施するとともに、慢性の病いにおける「言いづらさ」の概念を論述するための取組みの一貫として理論構築における概念分析に関する有識者を招聘した会議を開催し、「言いづらさ」の概念分析について討議することができた。この会議において、概念分析についての理解を深め、ライフストーリーに立ち現われてる「言いづらさ」とその先行要件および帰結として論述することが可能であることを見出した。 次に、看護職者が病いのある生活における人々の言いづらさをどのようにとらえ、どのような看護ケアを提供しているかを洞察することについては、上記によって見出されたライフストーりーに立ち現われてる「言いづらさ」と先行要件および帰結について論述した文書を資料として提示し、慢性状況における看護を提供している看護職者による看護実践者会議を開催することができた。看護実践者会議におけるディスカッション内容を踏まえ、慢性の病いにおいて”立ち現われてる「言いづらさ」・先行要件・帰結”についての論述を一層深め、次年度の取組みに繋げることが可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、平成24年度および平成25年度の結果を踏まえ、慢性の病いにおける他者への「言いづらさ」の立ち現われ・先行要件・帰結に関して十分に論述することを基盤とし、病いとともにある生活のあり様(クライエント領域)において人々が求めるケア(看護の実践領域)について統合的に考察する。 上記による考察内容を踏まえ、看護理論の理論的構想の基盤となる看護学研究者・看護実践者会議を開催し、わが国における慢性の病いと他者への「言いづらさ」および人々が求めるケアについてディスカッションを行う。 これらの取組みから導き出された事柄にもとづき、慢性の病いにおけるクライエント領域および看護実践領域の特性の論述するる。当該論述においては、H.S.KimあるいはP.L.チンなどの看護理論構築の有識者との意見交流を行うことによる思索の深化を行いながらすすめる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度研究実施計画は、看護理論の理論的構想の構築のプロセスを看護理論構築に関する有識者を含む研究者および実践家とのディスカッションを実施しながら推進すること、およびライフストーリーインタビューから導かれた「言いづらさ」に対する看護職者の対応を踏まえ、看護職者が病いのある生活における人々の言いづらさをどのようにとらえ、どのような看護ケアを提供しているかを洞察することで構成した。 上記の看護理論の理論的構想の構築プロセスにおいては、看護理論構築に関する有識者との意見交流を含めて計画し、Dr. Kimを招聘して検討を深めるための予算を当該年度に組んでいたが、事情によりDr. Kimの来日が延期となった。 平成26年度の計画は、平成24年度および平成25年度の結果を踏まえ、慢性の病いにおける他者への「言いづらさ」の立ち現われ・先行要件・帰結を論述し、病いとともにある生活のあり様(クライエント領域)と人々が求めるケア(看護の実践領域)について統合的に考察すること、看護学研究者・看護実践者会議を開催してわが国における慢性の病いと他者への「言いづらさ」および人々が求めるケアについてディスカッションを行うこと、およびこれらの取組みから導き出された事柄にもとづき、慢性の病いにおけるクライエント領域および看護実践領域の特性の論述することとしている。当該論述においては、H.S.KimあるいはP.L.チンなどの看護理論構築の有識者との意見交流を行うことから、招聘あるいは訪問旅費などに使用する予定である。
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