研究課題
医療の高度化や高齢患者の増加による日和見感染の増加、伝染力の強い感染症の流行など感染症をめぐる様相は急激に変化している。研究の目的は、地域の医療安全管理体制の整備に向けた取り組みとして、外来機能の強化による医療関連感染が減少する地域全体の連携システムの開発と評価を行うことである。最終年度の調査では、外来での感染対策上の工夫(感染症の症状・徴候に関する問診票の導入)などこれまでの成果を盛り込んで、感染管理認定看護師などの所属する全国の医療機関1,369施設の感染対策担当者に対して、職員のワクチン接種プログラムや感染管理の基本である標準予防策の実施・啓発および外来での感染対策の困難点などについて質問紙調査を実施した。569施設から回収された(回収率41.6%)。感染症指定医療機関の指定が163施設(28.6%)であり、診療報酬における感染対策防止加算1が464施設(81.5%)であった。医療従事者が勤務する上で、「免疫をもっている」もしくは「ワクチン接種を推奨する」とマニュアルで規定している感染症として、B型肝炎(96.5%)、インフルエンザ(91.0%)、続いて麻疹・風疹・水痘・流行性耳下腺炎(82.4~86.1%)であった。平成26年度に外来部門で特に感染対策を要した感染症・疑い(複数回答)は、インフルエンザ(84.7%)、結核(75.4%)、ノロウイルス感染症(58.7%)であった。外来での感染対策で苦労した事例が有ると46.4%が回答したが、9.8%は不明と回答し、外来での感染事例を把握できていないことが示唆された。外来の感染対策で難しいことでは、感染症患者を他の患者と引き離す場所の確保が困難(70.1%)と回答したのが最も多かった。外来受付において感染症の症状・徴候に関する問診票を導入していないと20.7%が回答しており、感染対策上の工夫の余地があると考えた。
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名古屋市立大学看護学部紀要
巻: 15 ページ: 7-14
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