研究課題/領域番号 |
24593226
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 三重県立看護大学 |
研究代表者 |
岡本 恵里 三重県立看護大学, 看護学部, 教授 (20307656)
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研究分担者 |
鈴木 直義 静岡県立大学, 経営情報学部, 教授 (40112495)
竹内 登美子 富山大学, その他の研究科, 教授 (40248860)
松浦 博 静岡県立大学, 経営情報学部, 教授 (60451085)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 看護技術 / フィジカルアセスメント / PC教材 / 教育方法 |
研究概要 |
本研究の目的は、看護学生の看護実践能力を高めることを目指し、自己学習に活用できるシミュレーション機能を備えたフィジカルアセスメント用のコンピュータ教材を開発することである。 平成24年度は、研究代表者がこれまで作成してきた胸部アセスメント学習用コンピュータ教材の内容を、基礎看護技術教育を担っている看護教員6名に評価してもらい、修正すべき課題について抽出した。 また打診や聴診により得られる情報を、その音質や波形によりリアルタイムに可視化できるシステムをコンピュータ教材の中に組みこむことを目指した予備実験を行った。打診音はより評価しやすい条件にするため、今回は人体ではなく物体(机)の打診音を分析した。先の看護教員6名を対象に、机を人体の腹部と想定し、通常実施しているように打診を実施してもらった。その音の特徴を分析した結果、打診波形の相関係数、ピーク抽出による波形の振動数、打診の間隔の標準偏差によって打診手技を評価することが可能であることを示した。さらに看護学生などの初学者が陥りやすい「あてがう指を机に密着させない、打診する手はスナップをきかせず押さえつける」など、誤った5つのパターンの手技をあえて実施してもらい、その音の特徴について分析し正しく打診できている場合との比較を行った。 聴診については健康成人男性の心音を集音した結果、正常I音、II音のサンプルを収集する際に50-150Hzを強調することで、聴き取りやすさを向上させることが可能であった。また心音の大きさは、被験者によって少なくとも600倍以上の違いがあるため、聴診器での聴取では問題ないが、コンピュータ教材の中に組みこむ場合は、ボリューム調整に注意を払うことが課題としてみえてきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は5か年計画で進めており、平成24年度は1年目であった。当初の計画では、フィジカルアセスメントに熟練した看護師と初学者(学生)の行動を2方向から同時に録画し、二次元動作解析ソフトを用いてその画像を分析したり、アイマークレコーダ(注視点記録装置)によりベテランナースの注視点の特徴を分析したりすることにより、正確に効率よくアセスメントするための行動特性を明らかにする計画であった。しかし協力いただく予定であった看護師の海外留学、産前産後休業等によりデータ収集ができない状況であった。 そのためこの実験は平成25年度に実施することとし、当初平成25年度に計画していた、打診や聴診により得られる情報を、その音質や波形によりリアルタイムに可視化できるシステムをコンピュータ教材の中に組みこむことを目指した予備実験を先行して行った。平成25年度は熟練した看護師と初学者(学生)の行動特性を明らかにしていくと共に、当初計画していた平成25年度の計画を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
1.平成24年度の研究成果を基に、心音・呼吸音・腸蠕動音を収集し、音質等から音の特徴を可視化できるシステムを確立する。 2.平成23年度までに研究分担者が試作してきた「触診・打診・聴診手技の学習支援システム」を、研究代表者が作成した「胸部アセスメント学習用コンピュータ教材」に組み込み実用化できるよう改良する。 3.「触診・打診・聴診手技の学習支援システム」を組み込んだ「腹部アセスメント学習用コンピュータ教材」の作成に向けたコンテンツを作成する。
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次年度の研究費の使用計画 |
<物品費>①触診・聴診・打診学習システム専用のタブレット型コンピュータ:3台、②医療用ドプラー:3台、③外部記憶装置、④文献検討用図書、⑤実験用消耗品、⑥文具一式 <旅費>①研究打ち合わせ会議用旅費 <謝金>①研究協力へのお礼、②研究支援者雇用 <その他>①会議費、②資料・物品郵送代
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