研究課題/領域番号 |
24593226
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研究機関 | 三重県立看護大学 |
研究代表者 |
岡本 恵里 三重県立看護大学, 看護学部, 教授 (20307656)
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研究分担者 |
鈴木 直義 静岡県立大学, 経営情報学部, 客員教授 (40112495)
竹内 登美子 富山大学, その他の研究科, 教授 (40248860)
松浦 博 静岡県立大学, 経営情報学部, 教授 (60451085)
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キーワード | 看護技術 / フィジカルアセスメント / コンピュータ教材 / 教育方法 |
研究概要 |
本研究の目的は、看護学生の看護実践能力を高めることを目指し、自己学習に活用できるシミュレーション機能を備えたフィジカルアセスメント用のコンピュータ教材を開発することである。平成25年度は「打診」の教材作成に焦点を当て、主に下記3点に関する教材を作成した。 ①条件を統一するため机を打診対象とした熟練者の打診音を録音し、音声分析手法としてよく使用される自己相関関数とFFTを用いてその打診音の特徴を捉えた。この値を基準に学習者が机の上を打診した際の打ち損じや打診リズムの悪さを判定し、コンピュータ画面上に文字によりフィードバックするシステムの試作をした。表示する画面は「比較的よい打診といえます。このまま頑張って下さい」・「リズムに乱れが見られます」・「打診後に右手を押し付けていませんか?」・「もう少し等間隔に打診できるように心がけましょう」等である。 ②学習者が実施した打診の波形がコンピュータ画面上に表示するシステムを試作した。これは熟練者の打診音の特徴から基準を設定し、学習者の打診音が基準値から外れた場合は打診音であると認識されず、コンピュータ画面上で確認ができるものである。学習者が自分の打診の特徴を可視化することより、自己の打診を客観的に捉えられるようにした。 ③学習者の打診音の聴く力を鍛えることを目指し、腹部の打診音における鼓音・濁音・共鳴音の違いを聞き分けるシステムを試作した。これは学習者が「鼓音と濁音」「鼓音と共鳴音」がセットになった12通りの一連の打診音を聞き、音の境界を判定してコンピュータ画面上をクリックするというものである。そのうえで、学習者の判断が正しいか・不正解かを「答えあわせ」の画面上で確認をすることで、繰り返し音を判別する学習が自分のペースで行える。 これら学習システムを熟練者が体験しながら、その精度や利用しやすさを検討することで修正を繰り返した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
打診音を可視化するシステムの試作は順調に進み、コンピュータ教材の学習画面を試作するに至っている。このシステムを土台に聴診(心音・呼吸音)を可視化するシステムを考案中であり、ほぼ計画通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は下記4点の試作を中心に進めると共に、学習者が自己学習用に用いることができるコンピュータ教材を土台を作成する。 ①呼吸音の聴診部位(肺の上葉・中葉・下葉)に聴診器が正しくあてられるか、学習するシステムの試作(学習者が肋骨を数えて聴診器をあてる位置をクリックすることで、その位置が正しいか間違いかが表示される) ②心音の聴診部位(僧帽弁・三尖弁・肺動脈弁・大動脈弁・エルプ領域)に、聴診器が正しくあてられるか、学習するシステムの試作(呼吸音と同様に、肋骨を同定して定めた部位が、正しいか間違いかが表示される) ③人体に対する打診音(鼓音・濁音・共鳴音)を、できるだけ現実に近い音で録音し教材化する ④呼吸音・心音など、聴診器のあて方によって聴こえ方が異なることを、聴覚(音の違い)と視覚(音の性質をグラフや図式化する)により確認することで、聴診器の正しいあて方を学ぶシステムの試作 平成27年度にパイロットスタディによる評価により教材を改良すると共に、触診の学習システムを改良し、平成28年度には学習効果・満足度調査を実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
教材に用いる心音や血管音を録音するために、医療用ドプラーを購入する予定であったが、選定していた機種は使用目的に合致する機能を備えておらず、必要な機能を備えたドプラーは高価なため購入することができず断念した。 実習室専用のタブレット型コンピュータを購入する
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