研究課題/領域番号 |
24593231
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 神戸市看護大学 |
研究代表者 |
松葉 祥一 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (00295768)
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研究分担者 |
西村 ユミ 首都大学東京, 健康福祉学部, 教授 (00257271)
グレッグ 美鈴 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (60326105)
村上 靖彦 大阪大学, 人間科学研究科, 准教授 (30328679)
本間 直樹 大阪大学, 文学研究科, 准教授 (90303990)
三浦 藍 梅花女子大学, 看護学部, 講師 (10438252)
北尾 良太 千里金蘭大学, 看護学部, 助教 (30505095)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 現象学 / 看護 / 研究 / 教育 / 質的研究 |
研究概要 |
国内外の現象学的看護研究の実践者を招いて現象学的看護研究の教授法について共同討議を行った。また国内、国外の関係学会に参加して、討議を行った。 2012年6月30日に、大阪大学OSIPP千里エクステンションにおいて、第1回研究会を行った。西尾美里氏(京都府立医科大学大学院)に「現象学的な知見を必要とした研究活動の経験について」のタイトルで、氏が大学院博士課程で行った現象学的看護研究の概要と何に困難を感じたかについて話していただき、指導方法について討議した。また、村上靖彦氏(大阪大学)の「トゥールーズにおける看護師と哲学者の対話」の発表と現象学的看護研究の方法論についての著作の執筆状況についての検討会を行った。 2012年11月25日に、大阪大学でOSIPP千里エクステンションにおいて、第2回研究会を行った。坂井志織氏(日本赤十字看護大学)に「身体経験を現象学的に記述することの困難さ」のタイトルで、氏が現象学的看護研究を行う上でどのような点に難しさを覚えたかについて話していただき、それにもとづいて現象学的研究の方法論と指導について討議した。ほかに、池田喬氏(明治大学)に「ハイデガーとケア」のタイトルで当事者研究と現象学の可能性について話していただき、討議を行った。 2012年4月27日から5月6日にかけて、松葉がダブリンとパリに出張し、看護の現象学研究の学会に参加、あるいは関係者と面談して討議を行った。アイルランドでは、ダブリン大学教授、現象学会副会長のジョセフ・コーエン氏と面会し、同国での現象学研究の現状について情報収集した。また、2012年5月5日、パリの高等師範学校で、エマニュエル・ド・サントベールCNRS研究員が主催するコロック「メルロ=ポンティあるいはエクリチュールに試される哲学(II)」に参加し、討議を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)現象学的看護研究の方法論の探求 国内外で現象学研究を実践している看護学研究者や、リハビリテーション学者、医学研究者など医療・介護関連の研究者のほか、現象学的研究方法を採用している心理学者、社会学者、教育学者、および現象学者を招聘し、教育方法について共同討議を行うことについては研究会そのものは2回だけであったが、関連学会に出席するなどの方法によって順調に進めることができた。 (2)現象学的看護研究の教育方法の探求 現象学的看護研究を実践しようとする大学院生、研究者をサポートするとともに、その教育・指導の記録を蓄積していくことについても、2回の研究会を通じて活発な議論を行うことができた。 また、現在作成中の現象学的研究のためのテクスト(医学書院より発行予定)については、主要部分の原稿を除いてほぼ出揃い、相互検討も進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、国内外で現象学研究を実践している看護学研究者や、リハビリテーション学者、医学研究者など医療・介護関連の研究者のほか、現象学的研究方法を採用している心理学者、社会学者、教育学者、および現象学者を招聘し、教育方法について共同討議を行う。また、国外からの招聘が難しい場合、研究者が海外での質的研究や現象学的看護研究に関わる学会、研究会、ワークショップ等に参加するために、アメリカおよびカナダ、イギリス及び北欧での調査を行う。 これと平行して現象学的看護研究のための相談を受付、現象学的看護研究を実践しようとする大学院生、研究者をサポートするとともに、その教育・指導の記録を蓄積していく。またそれによって、現在作成中の現象学的研究のためのテクストの検証を行い、更新や修正を行う。サポートを希望する大学院生、研究者に研究会に出席してもらい、研究会のメンバーが研究上困っている点などについて共同討議し、アドヴァイスを行う。こうした指導の結果を蓄積したものを、再度全体で点検、検証し、現象学的看護研究の指導モデルとして公表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
(1)現象学的看護研究の方法論の探求 国内外で現象学研究を実践している看護学研究者や、リハビリテーション学者、医学研究者など医療・介護関連の研究者のほか、現象学的研究方法を採用している心理学者、社会学者、教育学者、および現象学者を招聘し、教育方法について共同討議を行うことについては、研究会を6月と2月に開催することが決定している。2013年6月2日に首都大学東京の荒川キャンパスにおいて、西村ユミ(首都大学東京)が「現象学的研究『実践編』 看護の視点を編成する」のタイトルで、グレッグ美鈴(神戸市看護大学)が「現象学的研究方法──私の経験」のタイトルで発表することが決まっている。また、研究者の何人かがこの科研の成果に基づいて、『現代思想』の看護の現象学の特集号で、方法論についての研究をまとめて寄稿する予定である。 また、関連学会については、8月にパリで開かれる医療の現象学研究会に出席するなど平成26年度に予定している国際シンポジウムの準備のために積極的に情報収集と意見交換を行う予定である。 (2)現象学的看護研究の教育方法の探求 現象学的看護研究を実践しようとする大学院生、研究者をサポートするとともに、その教育・指導の記録を蓄積していくことについても継続する。上記の6月に行われる研究会は、現象学的研究のためのテクストの主要部分の原稿の検討会を兼ねており、今年度中のとりまとめを予定している。
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