研究課題/領域番号 |
24593232
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
三宅 一代 兵庫県立大学, 看護学部, 准教授 (50364047)
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研究分担者 |
片田 範子 兵庫県立大学, 看護学部, 教授 (80152677)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 災害看護 / 小児看護学 / ケアパッケージ / シミュレーション |
研究概要 |
目的)『小児病棟用ケアパッケージ(以下ケアパッケージと略す)』を2008年から2012年に活用した施設の看護師に質問紙ならびに面接調査を行い、ケアパッケージの導入方法や活用状況、病棟に合わせて追加した項目や導入による具体的な備え行動、ケアパッケージ活用による具体的な効果などを明らかにする。 方法・対象)①質問紙調査②半構成的面接調査 対象者:先行研究で開発したケアパッケージを導入した施設の導入を希望または活用の中心となった看護師1施設1から2名 結果)現段階では、研究効力の得られた看護師が記載した質問紙の回答を分析し、ケアパッケージの活用の実際と効果について報告する。 ケアパッケージを導入した施設16施設中8施設の看護師より回答が得られた。施設の内訳は、専門病院1施設、総合病院6施設、療育施設1施設、ケアパッケージの導入時期は平成18年から24年であり、全施設が何らかの形でケアパッケージを継続して活用していた。ケアパッケージ導入するに至った経緯は、大規模災害の発生による危機感や防災マニアルの見直し、看護研究等がきっかけとなっていた。ケアパッケージを導入するまでに災害発生時のアナウンス内容の追加、病棟の管理台帳と統合させた項目シートの作成など各病棟に合わせて変更や追加を行っていた。導入の効果については、全施設が導入の効果があったと回答した。 考察)ケアパッケージが研究終了後も長期に活用されている背景には、導入時に中心となった看護師の災害への感受性が高く、維持できていることが病棟スタッフの取り組みに影響していると考える。また今回の対象者は、自身の取り組みを研究として公表している看護師が多く、今回の研究を引き受けることでの協力者の災害への取り組みの見直し、研究発表や今回の調査など施設の取り組みが他者から認められる体験が災害看護の感受性を高めることにつながっているのではないかと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
先行研究で開発した『小児病棟用ケアパッケージ』を導入し12施設59病棟の具体的な導入方法と活用の実際を導入後3ヶ月に行った懇談会のデータとアンケートシステムの自由回答欄の内容を分析し、質問項目を抽出ならびにデータ入力の簡素化データ集積が簡易になるようファイルメーカーにてアンケート入力システム・情報管理システムを作成した。 研究計画書の作成ならびに研究者の所属する倫理委員会への申請・承認までを7月と設定していたが教育活動等により9月に延長した。しかし、その後の質問紙の発送・回収、質問紙のデータ入力と内容分析、面接の了承施設との面接日の調整については同時進行で行い年度内の計画内容を遂行することはできている。 半構成的面接法を施設に出向き面接を行う方法をとるか該当施設は北海道・東北、九州と遠隔地があるため、時間と経費の節約を考慮し、P2P技術を応用したIP電話『スカイプ』を導入することも検討。スカイプを使用する場合は、スカイプソフト入りのPCとテレビ会議ができるマイクとカメラ、モバイル回線(USB型)をとり、対象者の負担を減らす方策を検討していた。しかし、マイクやカメラモバイル回線が既に組み込まれており、対象者の操作の簡便性・郵送費の節約、研究者がどこにいてもメールでの情報交換ができる等のメリットがあり相手側のモバイルをPCからタブレット(docomo製)へ変更した。実際には、16施設中8施設より研究協力の返答が得られ、テレビ会議を使用したインタビューは希望がなかったがインタビューに出向いた際の時間調整のためのタイムリーな情報交換や実際の災害への工夫内容をカメラ機能を活用し具体的なデータとして活用することができる結果につながっている。
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今後の研究の推進方策 |
【2013年度】インタビュー調査:2012年度引き続き)6-8月 依頼施設が16施設であり、インタビューの了解が得られた施設全てにインタビューを行う予定であり、現在2施設の日程調整中である。今後も了解が得られた施設については調査期間を追加で行う。 研究成果中間公表)8月 質問紙で得られた『小児病棟用ケアパッケージ』活用の実際ならびに効果について、日本災害看護学会第15回大会で(8月)で発表する。 データの分析)9-3月 質問紙ならびにインタビュー調査で得られたデータに関しては、スーパーバイズを受けながら分析を進める。小児の特徴や特性をふまえた備え内容の抽出、施設等の場の特性や対象特性など備え行動に影響・関連する内容についても分析を行う。 【2014年度】研究成果のまとめ) 小児ならではの災害への備えの特性の明確化を行い、必要時先行研究成果物である『小児病棟用ケアパッケージ』の修正を行う。ICU、手術室、外来など場の違いによる備えの特性の具体的内容を『活用編』として『小児病棟用ケアパッケージ』に組み入れるための項目抽出や内容の検討を行う。 研究成果の公表) (『小児病棟用ケアパッケージ活用編』の作成)小冊子にての公表を考えており、冊子には災害に関連した特殊なイラストを使用する必要があり、この冊子のためのイラストを作成し、内容をコンパクトにまとめるなどの教育媒体としての検討を行う。(学会発表)7-8月 『小児病棟用ケアパッケージ』活用の実際ならびに効果について、日本小児看護学会(7月)と日本災害看護学会(9月)で発表する。日本小児看護学会においては、研究成果の発表と災害対策委員会の協力をえて、ワークショップ形式の公表も考えている。(学会誌投稿)9-3月 日本小児看護学会か日本災害看護学会を想定している。 報告書の作成・研究の終了)~3月
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は、アンケートの内容を元にインタビュー調査を行うため、調整のための通信費ならびに旅費、とインタビューの音声データのテープ起こしを行うための保存媒体や委託費が必要となる。昨年度は研究補助員が獲得できず計画遂行が途中遷延したこともあり、研究補助の人件費も必要である。また、研究結果の中間公表を予定しており、そのための旅費・公表媒体の作成費が必要。データ分析の視点を明確にするため、国内外の最近発生した災害に関する書籍や資料ならびに視聴覚教材、ならびに災害看護に関する最新の動向を捉えるための文献が必要となる。研究成果をより長く研究成果を公表するために『小児病棟用ケアパッケージ活用編』小冊子を作成や災害に関連したイラストは既成のものでは難しいため、イラストを内容に合わせて作成するための費用が必要である。広く公表するための翻訳費も必要となる。
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