平成26年度4~5月にA県の看護職が勤務する施設(老人保健施設・福祉施設等を含む)を層化無作為抽出し郵送調査を実施した。看護研究への取組みや支援ニーズについて,施設の看護職代表者への調査票と看護職個人への調査票を用いた。施設対象は配付344,回収105(回収率30.5%),個人対象は配付1510,回収523(34.6%)であった。 主要な結果は次の通り。1)施設の研究への取組み状況は規模と関連し,小規模施設では組織的取組は少ない,2)その理由で「必要を感じない」は少数で「行いたいがスタッフや時間の制約で行えていない/研究の進め方が分からない」が7割を占め,適切な支援により看護研究を推進できる可能性が示され,個人では,3)7割が養成機関在学中に看護研究を経験したが,4)8割は事例(症例)報告・質的研究,5)研究に関する外部支援は現状では少ないがネットを利用した支援のニーズも確認され,6)スマートホン保有状況も合わせると9割の臨床看護職は日常的にインターネット利用が可能であった。 調査結果等を検討,反映の上,サイトwww.kango-stat.jpの公開を開始した。特に,1)直接質問・相談するための掲示板システム設置,2)既存の専門的な統計学や研究法に関するサイトへのリンク集を解説付きで整備する,3)スマートホン利用者を考慮し,最適化した表示で閲覧できる,という点に配慮している。 以上から,本研究で構築したサイトを利用し臨床看護研究支援が推進できると考える。しかし,臨床看護職の研究に関する「横の情報交換・交流」については今後の課題である。また,「看護研究」という言葉に縛られず,EBM・EBN実践に必要な基礎的な統計リテラシーや研究に関する知識を身につけられるコンテンツも必要と考えられ,今後整備することを予定している。最終年度が終了したが,サイトの運用は今後も継続しコンテンツの充実や機能の改善を継続する。
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