研究課題/領域番号 |
24593242
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 茨城キリスト教大学 |
研究代表者 |
坂間 伊津美 茨城キリスト教大学, 看護学部, 教授 (40285052)
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研究分担者 |
礒山 あけみ 茨城キリスト教大学, 看護学部, 助教 (00586183)
小松 美穂子 茨城キリスト教大学, 看護学部, 教授 (50134169)
渋谷 えみ 茨城キリスト教大学, 看護学部, 講師 (60382818)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 看護実践能力 / 母性看護学 / 教育方法 / 教材開発 / 看護過程 |
研究概要 |
本研究は、母性看護学における看護実践能力を高める教育方法を開発するため、産褥・新生児期の紙上患者事例をもとに看護実践映像型教材を作成したうえで、看護過程の演習に映像型教材を加えた学習の有効性を評価することを目的としている。 平成24年度は、1.看護実践能力に関する文献レビュー、2.映像型教材の設計および教材作成(1本)を行った。 1.看護実践能力に関する文献レビュー:「看護実践能力」と「看護基礎能力」のキーワードを用いて、医学中央雑誌データベースから2010年~2013年の原著論文を抽出した。得られた25件の論文を精読したうえで、看護実践能力の測定・評価に関連する報告を含んでいる6文献から、本研究における看護実践能力の評価項目の一部としうる内容を検討した。 2.映像型教材の設計および教材作成:看護過程の授業で使用している「産褥・新生児期にある母子とその家族」の紙上患者事例について情報を再度整理し、4場面を抽出し、シナリオを作成した。そのうち、「生殖器・全身の復古のアセスメントとケア」のDVD教材を作成した。本研究で作成する映像型教材を特徴づける点について研究分担者と検討し、以下の構成、シナリオでの教材とするよう工夫を重ねながら作成した点に意義がある。1)看護過程を一連の流れとして理解できるようにするため、看護技術の手順ではなく、紙上患者事例をもとにした看護実践を行う場面を用いた、2)母性看護のイメージ化を促進し、実習へのスムーズな導入を図るため、指導者とのコミュニケーション方法も含めての実習場面に沿ったシナリオ展開とした、3)学生の学習意欲を喚起するとともに、教授したい看護の視点を具現化するため、新卒の卒業生に学生役を演じてもらいリアリティを増した、4)専門知識やアセスメントと看護実践を結びつけるため、合間にQ&Aや学習の要点を挿入する構成とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度には、「産褥・新生児期にある母子とその家族」の紙上患者事例の中から抽出した場面の看護すべてについて映像型教材を作成することを当初の計画としていたが、現在「生殖器・全身の復古のアセスメントとケア」1場面の作成のみにとどまっていることから、達成度としてはやや遅れている。 計画よりも遅れている理由としては、研究者らにとって教材作成を自ら行った経験が乏しく、「研究実績の概要」の項で述べた工夫点を組み込んだシナリオをおこし完成させるまでにかなりの時間を要したことが最も大きい。それに加えて、撮影からDVD教材作成までを専門家に依頼することとしたために、依頼先の選定や、撮影する上での場面・状況を看護実習の特殊性をふまえて詳細にすりあわせを行うのに予想以上の時間が必要であったこと、撮影に向けての日程調整が出演者らや撮影場所の都合等により限られていたことなどが挙げられる。 教材の作成プロセスを1回たどり把握できたため、今後の作成には時間の短縮化を図りつつ、研究スケジュールの管理を十分行っていく。
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今後の研究の推進方策 |
まず、平成24年度に作成に至らなかった「産褥・新生児期にある母子とその家族」に対する看護場面の映像型教材作成を行う。抽出してある3場面のうち、看護教育用モデルの使用が多くなり本研究で作成する教材としての特性を十分発揮できないと考えられる1場面は除き、あと2場面の作成を行うことと計画を変更する。また、あわせて、平成25年度の実施計画として挙げている、母性看護学における看護実践能力を測定する調査票作成を文献レビューの結果をふまえて行う。作成した調査票を用いて、所属する看護系大学において母性看護学を履修する3年次生を対象とした以下の調査を順次進めていく。 1.従来どおり紙上での看護過程展開と役割演技シミュレーションを行う群(対照群)を対象として、演習前・後、母性看護学実習後の母性看護実践能力について測定する。 2.従来の方法に映像型教材による学習を加えた演習を行う群(介入群)を対象として、演習前・後、母性看護学実習後の母性看護実践能力について測定する。 さらに、文献レビューから得られた結果、教材の開発過程や効果について成果の発表を行う。 今後の研究計画を円滑に進めていくため、分担研究者と綿密に打ち合わせながら研究スケジュールの管理に努める。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用の研究費が生じた状況としては、平成24年度内に複数の作成を予定していた教材作成が1本のみにとどまり、DVD教材作成費、出演者への謝礼、研究補助の人件費等が研究開始時の使用計画よりも少なかったこと、また、研究の進度が遅れたため、研究成果発表用として計上していた旅費を使用しなかったことがある。 次年度使用額と合わせた平成25年度の研究費は、これから行う教材2本分の作成に係る撮影・編集費等を含めたDVD製作費、出演者への謝礼、撮影に必要な消耗品費として主として使用する計画である。 また、平成25・26年度は、作成した映像型教材を看護過程の演習に加えた学習プログラムの有効性を評価することを目的として、学生を対象とした自記式質問紙調査の実施を予定している。そのため、印刷費や調査用紙などの文房具費、調査の整理や集計に係る研究補助者への謝礼等にも研究費を使用予定である。さらに、研究成果について学会発表するための旅費を使用する計画である。
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