研究課題/領域番号 |
24593243
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
岡崎 美智子 国際医療福祉大学, その他の研究科, 教授 (60279354)
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研究分担者 |
道重 文子 大阪医科大学, 看護学部, 教授 (00274267)
梶谷 佳子 京都橘大学, 看護学部, 准教授 (40224406)
仲前 美由紀 産業医科大学, 産業保健学部, 講師 (40434675)
中橋 苗代 京都橘大学, 看護学部, 講師 (60454477)
那須 潤子 京都橘大学, 看護学部, 助教 (70554898) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 学習支援システム / 新人看護師 / 臨床判断力 / 看護過程 / ロイ適応理論 / 看護教育 / 学習評価 |
研究実績の概要 |
研究目的は新人看護師の臨床判断力をつける学習支援システムの開発に関する評価である。開発してきた学習支援システムをノ-トPCに搭載し、稼働を試み、システム改良を3回行った。1回目は、共同研究者・看護情報学が専門の連携研究者らで稼働結果の評価を行い、システムに搭載している専門的知識の内容について最新の情報であるか検討し、遷移画面の改良を行った。2回目は看護情報学を専攻する大学院生の協力を得てシステム全体の画面遷移のスピ-ドアップを図った。3回目は、新人看護師2名、認定看護師1名、看護管理者1名、看護系大学学部4年生2名、看護情報学研究科大学院生2名、看護系大学教員1名に研究協力を依頼した。さらに看護学情報学会において、ポスタ-発表と共にノートPCで稼働の実演を行い学会参加者の評価を得た。 新人看護師のシステム評価は「ロイ理論を学習していなくても、システム上で学習の方向を導いてくれるので分かりやすい。看護過程をPC画面で学ぶのは初めてであったが、手書きより楽だった。自己学習が進めやすい。新人看護師にシステムを使用させると臨床判断力の何を学ばないといけないかが、事例を通して見えてくる。情報をアセスメントする場合、ロイ適応理論にそって入力していく時、間違うと×が出てきてドキッとしたが、続けていくと面白くなった。ステップ2のモデル事例の学習はとても興味が持て、楽しく学習できた。看護理論を看護過程に活用することで臨床の看護現象がはっきり見え意識が変り、自分の受け持ち事例に活用できる。システムを使ってみて先が見えない感じを持ったが、システムとしてきちんと整理されていて、学習している感じ、上手く進んでいる実感が持てた。新人看護師のみでなくプリセプタ-も使用してみると良い。病棟の一室にこの学習支援システムを置き、常時誰でも研修出来るようにすると効果的でる。」などが提案された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
学習支援システム開発は次の5ステップから構築している。ステップ1はレクチャーで、看護過程に必要な基礎的知識やクリティカルシンキング,臨床看護倫理を学習できる。また本システムに活用したロイ理論ならびにNANDA-I看護診断用語体系を学習できる。ステップ2はモデル事例を用いて,ロイ理論を看護過程に活用し学習出来るように解説を加えた。ステップ3は模擬事例27の学習ができる。模擬事例は新人看護師が臨床で多く出会う事例を選んだ。ステップ4は学習能力評価で、学習者がトレーニング開始前後に自己評価し,臨床看護実践力を確認することを目的とした。評価項目は228、5件法に分類し,評価基準を「全くそう思わない~かなりそう思う」と設定した。学習者は,臨床看護実践力(109),研究能力(12),管理能力(42),対人関係能力(16),教育力(49)の項目毎に自己評価を入力し、結果をレ-ザ-チャ-トで確認することが出来る。ステップ5はアドバンスコースで、個別事例をフリー入力すると,その事例の看護過程が展開できる。 学習支援システム開発の第三者評価を9名の研究協力者を得て実施した。新人看護師2名、認定看護師1名、病棟管理者1名、医療情報系大学院生(看護師)2名、看護系大学4年生2名、看護系大学准教授1名である。 データ収集方法は、学習支援システムに搭載されたステップ①から⑤までをノート型PCで実稼働した結果を、自記式質問紙調査票と半構成的インタビュ-ガイドに従いデータ収集した。インタビュ-時間は1名40~60分以内とし、インタビュ-内容は同意を得てICレコ-ダに収録した。学習の場所は、研究協力者が自由にいつでも学習できるように、希望する場所で希望する期間、ノート型PCは貸出した。システム評価にかかる時間は、平均数日から1週間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
研究協力者の第三者評価を得て、共同研究者らとさらなる研究を推進するために次の方策を考えた。①システム搭載事例に関して、「・心筋梗塞の事例は、特に問題なく進むことが出来たが小児・母性・循環器の手術・ICU・救急の事例があると良い。・システムに搭載された27事例のすべてをマスタ-することはかなり時間がかかる。興味のある事例から進めたが、受け持ち患者が複数になるとケアで忙しくなるため必要な事例を短時間で見れるようにすると良い。②画面遷移に関する問題点として、「・最初の画面に【トピックス】が現れるが見落としてしまう。視覚に止まる工夫が必要である。・ノート型PCで画面が小さい。文字も小さいので、夜間は特に目が疲れる。・目次のボタンを押すと流れがわかるようになっているが、学習をしながら目次のどこをやっているのか位置関係が見えるように横に目次画面が出ると良い。」等、画面遷移の改良点が指摘された。これらの改良点は、高額の研究資金を必要とするため、本研究費からの捻出は困難である。看護情報学の研究連携者と再度研究資金を得る方策を検討し改良点をクリアしていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度を最終年としていたが、デ-タ収集が困難な事態が生じた。その理由は、①副読本『根拠がわかる基礎看護技術』を新版『看護実践のための根教がわかる基礎看護技術』に改訂したため書籍の原稿執筆に共同研究者が多くの時間を割いた。②システムの第三者評価を得て第3回目のソフトウェア改良に6カ月間の時間を要した。③京都橘大学を中心とした研究フィ-ルドの大学・病院の看護研究倫理委員会の承認が遅れたため、平成27年5月にデ-タ収集がずれ込んだ。そのため、データ収集及び学会発表等の諸経費が必要となったため、研究期間の延長を行った。
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次年度使用額の使用計画 |
研究計画に従い改良したシステムの第三者評価に伴う諸経費と、改良したシステム評価を学会発表するための旅費及び最終年の研究成果報告を行うための英文翻訳料(ネイティブ検閲)に充てる予定である。
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