研究課題/領域番号 |
24593244
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
窪田 聡 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 講師 (90433614)
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研究分担者 |
遠藤 豊 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 教授 (90194050)
窪田 光枝 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 講師 (70349900)
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キーワード | ファーラー位 / ギャッチベッド / 一回拍出量 / 心拍数 / 心拍出量 / 姿勢 |
研究概要 |
研究背景:ギャッチベッドの背上げ機能は,身体を起こし半坐位(ファーラー位)姿勢をとるための機能であり臨床現場で広く用いられている.本機能は身体機能が虚弱となった者の生活を支援するための重要な機能である.このようなユーザーが背上げ機能を用いることから,背上げ時の半坐位姿勢は低負担であることが要求される.本研究の目的は,循環器系機能への負担の少ないベッド背上げ姿勢の条件を明らかにし,低負担を実現するための補助具を開発することである. 方法:複数の半坐位姿勢を計測課題として設定し,そのときの胸郭インピーダンス,心電図,心音図,非観血連続血圧を測定した.対象は健常若年者と高齢者各11名とした.計測課題とした姿勢は,臥位(対照),臥位から体幹全体を30°起こしたた姿勢(以下30°姿勢),上部体幹を軽度屈曲させて起こした姿勢(以下上部体幹軽度屈曲姿勢:上部体幹60°・下部体幹30°),体幹全体を60°起こしたた姿勢(以下60°姿勢)の計4つであった.すなわち上部体幹軽度屈曲姿勢は上部体幹から頭頸部を60°起こしている点において,60°姿勢と同様であり,30°姿勢と60°姿勢の中間にあると言える. 結果:若年者・高齢者共に一回拍出量は上部体幹軽度屈曲姿勢で,60°姿勢よりも有意に高く,30°姿勢と同程度であった.反対に,心拍数は上部体幹軽度屈曲姿勢で60°姿勢よりも有意に低く,30°姿勢と同程度であった.心拍出量,血圧については全ての課題とした姿勢で有意差はみられなかった. 結論:上部体幹軽度屈曲姿勢は,60°姿勢と同様に頭頸部を起こすことが可能でありながらも,交感神経活動の亢進による心拍数増加を抑えつつ循環量の維持が可能な姿勢であることが示唆された.今後本結果を基に既存のベッド環境で上部体幹を軽度屈曲可能な補助具を製作していく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
24年度の研究結果を受けて,25年度では実験条件を増やして追試を行った.その結果として上部体幹軽度屈曲姿勢の有効性の確認ができ,補助具の設計指針の目処が立ち,現在すでに補助具の試作を行っている.
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今後の研究の推進方策 |
5~6月で補助具の試作を終了し,7月頃より開発した補助具を用いてこれまでと同様の結果が得られるか検証を行う予定である.なお,24~25年度に実施した実験方法と同様の手法で検証する予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
当初,25年度にベッド上で姿勢を保持するための補助具の一部試作を行い,予算を執行する予定であったが,試作が間に合わず,設計のみにとどまった.そのため,次年度使用額が生じた. 補助具試作のために用いる予定である.
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